不動産売却の必要書類とその取得方法

不動産売却の必要書類とその取得方法

 

不動産売却の際には、売主買主双方に数々の必要書類を売買契約締結の最終決済に向けて、取り揃える必要があります。

 

当初の売買価格査定に必要なものから、必要に応じて途中に当事者サイドで取り寄せるべき書類まで色々あります。必要書類の中には役所から所有者等に送付され等して手元に保管しているものから、平日に役所に赴いて取得すべきものまであります。

 

円滑に不動産売却を進める上では、不動産業者等との話し合いのもと事前に必要書類を揃えておくことが大事です。不動産売却すべき対象が土地であるか、マンションであるかなど不動産の種類によっても若干違いがあります。

 

不動産には登記が付きもの

不動産には普通は所有権移転登記が経由されているのが普通です。土地などの不動産売却の際には、買主サイドはまず権利関係を法務局で調査することになります。

 

具体的に何を調査するのかといえば、所有者が誰であるかはもちろん、第三者による何らかの権利が設定されていないか、不動産売却後に所有権移転を否定されるような担保権が設定されていないか、前の順位で売買予約を条件にした仮登記などが存在しないか、などを調査することになります。

 

売主が銀行の住宅ローンが返済途中であれば、近時に弁済が済む返済計画が設定されているのかを、売主に調査することになります。残債が少なければ貯金のなかから繰り上げ返済金を捻出したり、それが無理なら売買代金を充当して担保権抹消の見込みが立つのかなども調査することになります。

 

このように不動産売却の際に法務局で調査することは、出発点ともいえますが売買対象足りえる権利関係であるかに留まらず、それ以上の情報も取得できます。

 

例えば相続でもなく、頻繁に登記名義人が入れ替わっているような案件では何らかのトラブルを抱えた物件の可能性が浮上するので、より綿密な事前調査が必要になると判断できます。それでは実際に法務局で取得する登記事項全部証明書などを解説いたしましょう。

 

不動産登記事項全部証明書(登記簿謄本)

それでは権利書や登記識別情報の受付番号や、現在の権利関係が確かに売主が所有しているかいなかの確認はどのように行うのでしょうか。権利書が手元にあっても既に第三者に不動産売却済みで、それを失念していることもありえます。

 

このような時に現在の権利関係を調査するのに使用するのが、登記事項全部証明書、いわゆる登記簿謄本です。通常は不動産売却すべき土地を管轄する法務局に必要な収入印紙を貼付して、発行交付してもらいます。

 

表示の部分には土地の所在や、土地地目、土地面積などが記載されています。さらに内容は甲区と乙区に分かれており、甲区には所有権登記名義人と所有権取得原因が記載されているので、その記載の名義人が売主本人であれば、第三者に移転していないことの確認が出来ます。

 

乙区には所有権以外の権利、例えば金融機関が設定している抵当権が登記されています。下線がひかれ、弁済などを原因に抹消されているかどうかを一目で確認することが出来ます。

 

地図(公図)

現場の所在を確認するために法務局発行の、地図を利用することもあります。

 

地籍調査が完了し、成果が反映されている場合には、現場との位置関係は一致することが多く物件の所在確認に使用できます。ただし、場所によっては地籍調査が進捗せず、現況と殆ど合致しないこともあります。このような地区では、いわゆる公図が発行されるだけで現況確認にはさほど役立ちません。

 

同じく法務局で取得する地籍測量図が使われることもあります。いずれにしても、リアルな生活状況を判断する上では市販の住宅地図を利用することも多いです。

 

所有者があれば持っているはずの書類

登記済み証・登記識別情報

不動産売却の際には通常、売主は土地建物には所有権移転登記が付いているはずなので、登記済証、いわゆる権利書が法務局より発行され、自宅金庫などに保管しているはずです。従来型の登記済証では、売渡証書が冒頭2枚程度作成され、末尾に管轄法務局の登記官により、漢数字で登記受付日と漢数字で受付番号が朱印されています。

 

注意しなければならないのは、登記済証には所有権移転登記以外にも複数の種類のものもあるため、えてして混同してしまう危険があることです。

 

例えば土地を購入後、他の市区町村から住所を変えて不動産登記の住所の変更を経由した経験がある場合、住所変更登記完了後の登記済証も交付されています。

 

いざ不動産売却の段になって不動産業者から権利書を探しておいてくださいと指示を受けて、押入れやら金庫やらを探し回しても、住所変更登記の権利書を間違って差し出してもそれでは土地などの売却に必要な登記済み証にはなりません。

 

あくまで売却時に必要なのは、購入時の受付年月日と受付番号が朱印された所有権移転登記の登記済み証が必要だということです。

 

権利書などは一括して保管されている場合が多いので、中身を精査しましょう。

 

それでは従来の形式ではなく、現在の登記済み証の形式はどうなっているのか、といえば現在は登記識別情報と言う形式になっています。一番の特徴は土地や建物の一つずつに1通発行される点です。

 

また登記識別情報は、登記申請人が新たに登記名義人になる場合に限って発行されるので、先ほどの住所変更登記等では登記完了証が発行されるのみで、登記識別情報が発行されることがないのも特徴です。

 

従来では多数の土地などを取得しても一通の登記済み証に、同一原因で取得した不動産全てが記載されていたので、その登記済み証を使用すれば足りていました。しかし登記識別情報は1個の土地ごとに1枚発行されるので、3筆の土地を売却する際には3通の登記識別情報が必要になります。

 

登記済み証も登記識別情報も、不動産売却の際の重要な必要書類ですが、具体的には売買契約締結後、売買代金支払い後の決済が終了して後、法務局に売買登記に申請する際に添付書類の一つとして提出することになります。

 

それでは登記済み証や登記識別情報を紛失してしまった場合には不動産売却出来ないのでしょうか。

 

いくら重要な書類と入っても、引越しにまぎれて行方不明になってしまうのはありえる事です。このような場合には2つのアプローチで不動産売却を完結させることになります。

 

それは

  1. 事前通知と言う方法
  2. 司法書士などの専門職が作成した「本人確認情報」を提供する

方法のいずれかから選択することになります。

 

事前通知では登記完了まである程度時間が必要なので、知り合い同士の売買などでは利用されています。しかし通常の不動産売却では「本人確認情報」を提供して決済と速やかに完了する方法が取られています。

 

売主が保有している書類

売主であれば、現在の所有権登記名義人になるに至る過程で取得している書類があります。

 

不動産業者が調査のために用意を依頼される可能性がある書類のものもあります。特に不動産売却の対象が一戸建て住宅であるか、分譲マンションであるか、によっても種類が異なってきます。

 

建築確認済証・検査済証

一戸建て住宅の場合、建築基準法が定める基準を充足している建物であるか、市役所や検査機関が交付するものです。不動産売却時には違法建築ではないことを証明するために利用されます。

 

紛失しても再発行はされませんが、建築確認済み証に代わる証明書を発行する自治体もあるので、必要であれば役所の窓口に問い合わせてみて下さい。

 

管理規則・使用細則

マンションでは類似した属性を持つ住人が集まることも多いことから、管理規則などが定められています。マンションの管理組合で定める内部規則なので、通常十分には冊子などの形式で交付されているのが通常です。

 

査定に必須の書類ではありませんが、入居してからの生活設計の上で、ルールも分からないまま購入入居すると、住人との軋轢をもたらす可能性があるため、実務上では必要とされることが多くなります。

 

マンションの維持費に関する書類

これもマンションの場合に問題になります。マンションでは将来の大規模修繕に備えての修繕積立金や、管理費なども購入後必要になります。買主に取っては維持費の金額全貌に関する情報は、入居後の生活設計に直結する問題でもあるだけに、重要性が高いといえます。出来るだけ早めに用意しておきましょう。

 

固定資産税納税通知書・課税証明書

毎年1月1日現在の所有者には、固定資産税と都市計画税などが明記された固定資産税納税通知書等が送付されてきます。この書類には固定資産税や都市計画税の税額の明細が記載されているため、支払い税額を売主と買主の間で日割り清算するために使われることがあります。

 

また、税額算出の根拠となる課税標準額も記載されているので、売買登記申請時の登録免許税算出の根拠に使用されることもあります。紛失していても、固定資産税評価証明書などに必要な情報は記載されているので代用できます。

 

建築設計図書・工事記録書

建築設計図書とは、建物を建てるための設計図と仕様書から構成されます。建築工事記録書とは、工事の項目と具体的経過をまとめた書類です。

 

建物の根本設計と、それを具体的に工事した経過記録を事後的に確認することが出来るので、とくに中古住宅などリフォームを予定している場合には希望の増改築が可能かどうかの判断に使用されます。必須の必要書類ではありませんが、物件情報の一つとして売主が提供するのが妥当と言えます。

 

間取り図・パンフレット

分譲住宅やマンションであれば、購入検討時にパンフレットや広告などを参照しているでしょう。必要書類ではありませんが、手元に残っていれば買主に交付します。

 

その他

不動産取引では人、モノ、金の確認が必須条件とされます。

 

  • 誰が売主買主か
  • どの不動産を売るのか
  • いくらで取引するのか
  • そして入金振込みまで無事完了したのか

これらの諸点を確認することが重要なのです。

 

通常不動産売却の交渉がある程度進展してくれば、不動産売却の対象であるモノや、売買金額などの近隣の価格や対象物件の個別条件を踏まえて合意を見ていることが多いといえます。そこで最後に重要なのが人の確認です。

 

売買契約書などの必要書類に署名している当事者と、実際の取引に参加している当事者との同一性確認が必要になってくるのです。万一、無関係の第三者が取引に関与すると売買契約が無効になる危険もあります。その意味で本人確認を巡る書類が必要書類の中でも重要な地位を占めます。それでは具体的に本人確認書類を解説致しましょう。

 

本人確認書類

運転免許証、パスポートや国民健康保険被保険者証などが良く使われていますが、当然顔写真が付いている運転免許証などが望ましいといえます。これらの書類を元に本人確認が行われます。通常の決済では司法書士などの専門職が売主に対して、売買意思の真意を確認し不正取引でない旨を確認することになります。

 

実印・印鑑証明書

印鑑証明書とは市区町村に任意の印鑑を登録し、必要に応じ印鑑登録を証明してもらうことになります。これが印鑑証明書と言われるものです。印鑑を扱う場面に遭遇しない人では印鑑登録していないことがあるので、そのような人は売買契約決済までに市区町村に印鑑登録を済ませておく必要があります。

 

実際には売買登記申請時には、売主が委任状に押した印鑑が印鑑証明書の印影に合致する必要があります。売買登記では3月以内に取得した印鑑証明書であることが必要です。

 

住民票・戸籍の附票

住民票・戸籍の附票は市区町村に居住していることを公的に証明する書類です。売主が住民票等が必要になるのは登記簿上の住所と印鑑証明書上の現在の住所が異なっているときです。このような時には登記簿上の住所を印鑑証明書の住所に一致させるために住所変更登記をはさむ必要があります。

 

仮に住所変更登記をしないまま売買登記を申請すると、登記名義人と売主との同一性を法務局の登記官が確認できず、売買登記が却下もしくは取り下げを迫られるからです。売主が住居を転居した事実があるなら、必要書類として早急に住民票を取得しておく必要があります。

 

本人確認書類以外に、これがあればベターな書類も少し解説しましょう。

耐震診断報告書

古い建物の不動産売却などで耐震基準が不十分で、現在の耐震性を考慮すると耐震補強工事が必要になることも発生しうる事態です。売却の前に耐震診断を受けておけば、それも必要書類の一つとして交付しておきましょう。

 

土地測量図・筆界確認書

不動産売却時に土地の境界が不明確なときに必要書類になります。売却後に隣人との間で境界を巡るトラブルを抱えていたことが発覚すると、損害賠償責任が発生しかねません。境界があいまいなら土地家屋調査士に依頼して、これらの書類を取得する必要があります。