初めてでも失敗しないため家を貸す10のステップ

初めてでも失敗しないため家を貸す10のステップ

空き家とその土地を活用するには人に貸すのが選択肢の一つで、身内や身近な知り合いの中にその家や土地を借りたいと言ってくれる人がいない場合、個人で入居希望者を探すのは非常に難しいため、特に賃貸経営が初めての場合は不動産会社を利用するのが一般的です。また、入居希望者が見つかった後の事を考えても、やはり不動産会社の力は必要不可欠です。

 

しかし、考え方によっては賃貸経営の業務の多くは委託することが可能で、最初に不動産会社に依頼すれば、賃貸経営が初めてで分からない事が多くても、不動産会社の案内によって進めていく事ができます。

 

家を貸すまでには様々なステップがあります。不動産会社の選定から入居者を探して契約し、賃貸経営にあたってどんな業務が必要となるのか、一連の流れを解説します。一般的な流れであるため、絶対的ではありませんが、初めての賃貸経営でも失敗しないためには大まかな流れを把握しておくことが大切です。

 

不動産会社を選ぶ

土地活用で空き家や土地を人に貸す場合、まずはじめに行うのは、利用する不動産会社の候補を探す事です。貸し出そうと考えている家がある地域にどんな不動産会社があるかは、近隣の駅や商業施設などの看板や広告で見かける事もありますし、家を購入した時に利用した不動産会社をあたってみたり、インターネットやタウンページなどの電話帳で調べるという方法もあります。

 

また、近隣のアパートやマンションを見てみると、その物件を扱っている不動産会社の連絡先が貼りだされている事も少なくありません。

 

他にも、賃貸物件を取り扱っているポータルサイト等を利用してその地域の賃貸物件を検索してみると様々な物件が掲載されていて、それぞれの物件を管理し、取り扱っている不動産会社の情報を確認することができます。

 

不動産会社の候補として選出したところが初めて利用する不動産会社だった場合、注意しなければならないポイントが一つあります。それは、全ての不動産会社が賃貸物件を扱っているとは限らないという点で、売買専門の不動産会社や、管理専門といった不動産会社も存在するため、賃貸物件の扱いがある不動産会社かどうかという事を確認の上で選出する必要があるという事です。

 

賃貸物件のポータルサイトで確認した不動産会社であれば、少なくともそのサイトに掲載されている物件は賃貸物件として扱っているはずですから、売買専門や管理専門という事はないと考えられます。

 

また、賃貸物件も売買物件も扱っている不動産会社でも、得意とする分野があり、賃貸物件の取り扱いや仲介の実績がたくさんある不動産会社があれば、その不動産会社を選べば賃貸経営が初めてでも失敗しにくく、安心して任せられるでしょう。

 

家を査定してもらう

 

賃貸経営を行うにあたって、初めての場合はその家や土地の価格がどれくらいなのか、その価値を把握しておくことが大切で、その価値に見合った家賃を設定する必要があります。賃貸物件を扱う際には、どの不動産会社も賃料査定をしてくれるはずです。

 

利用する不動産会社の候補として選出した複数の不動産会社に賃料の査定を依頼し、その査定結果を規準に正式に利用する不動産会社を選ぶという方法もありますし、インターネットサイトなどの一括査定サービスを利用し、そこで査定してくれる不動産会社を利用する不動産会社の候補にするという方法もあります。

 

賃料の査定には

  1. 簡易査定
  2. 詳細査定

の2種類があります。

 

複数の不動産会社に査定を依頼する場合は簡易査定、利用する不動産会社を絞り込んでからの場合は詳細査定とするのも一つの方法です。

 

家や土地の賃料査定を複数の不動産会社に依頼する場合、その査定結果がすべての不動産会社で同じ価格になるとは限りません。査定価格は高い方が良いとは限らず、高すぎる家賃では借り手がつかず収入は得られませんし、かといって安い家賃では十分な収益があげられないため、あくまでも家や土地の価値に適した賃料でなければ、経営は失敗となる可能性が高くなります。

 

低い家賃の方が、借り手がつきやすく少なからず収入が得られるため、高い家賃で借り手がつかず収入がまったく得られないよりもリスクは小さいと考えられますが、家賃を途中で下げることは簡単でも途中で家賃を上げることは困難となるため、賃料は慎重に設定しなければ失敗に繋がりかねません。

 

不動産会社による査定結果はある程度の範囲内におさまる事が多く、価格査定においてはなるべくたくさんの情報を得ることで賃料の相場を知ることが可能で、相場をしっかり把握することで初めてでも失敗を回避することに繋がります。

 

不動産会社に管理を委託する

不動産会社の候補と家や土地の賃料査定結果が確認できたら、次のステップは利用する不動産会社を選択する事となります。不動産会社にも色々あり、全国規模の大手もあれば地域密着型のところもあります。どちらもメリットがあるので、一概にどちらが優れているとは言えません。

 

入居者を案内する際に、入居者から質問があった場合など、地域密着型の不動産会社ならその地域の不動産事情に詳しく質問に即答しやすいため優位性がありますし、営業力ともいえる営業資金や、管理業務やサブリース契約が可能かどうかという事業の幅の広さにおいては大手の不動産会社に優位性があると考えられます。

 

仮に、現在住んでいる場所と貸したい家の位置が遠く離れている場合や、事情があって自身で貸す家の管理をするのが難しいという場合は管理委託をすることになるため、管理委託に対応してもらえるかどうかは重要なポイントとなります。特に入居者が入っていない空室時にはこまめに家や土地の清掃などの管理を行わなければ荒れたり傷んだりする事で物件の価値が下がってしまい、物件の印象も悪くなってしまうため、ますます借り手が現れにくく、失敗に繋がります。

 

不動産会社を選ぶ際には、地域の情報に精通しており入居希望者への対応力に優れているか、営業資金などの経済面で安定しているか、物件の管理まで任せることが可能かどうか、サブリース契約を検討している場合にはサブリース契約をすることが可能かどうかというのが重要なポイントとなります。その中でどのポイントを重視するべきかは、貸す家の状況やどのような形態の賃貸経営をしたいかによって変わってきます。これらの点や賃料査定の結果などを踏まえて、どの不動産会社を利用するか決めると良いでしょう。

 

不動産会社と契約を結ぶ

複数の候補の中から利用する不動産会社を選出したら、次のステップではその不動産会社と入居者を斡旋してもらうために契約を結びます。

 

契約には

  1. 媒介契約
  2. 代理契約

の2種類があります。

 

媒介契約は入居者の募集は不動産会社が行いますが、その入居希望者を入居させるかどうかの決定は物件の所有者が行うという契約です。一方、代理契約は入居者の募集も入居させるかどうかの決定も不動産会社が行うという契約です。

 

貸す家がそれほど遠くなく、不動産会社とのやり取りに支障がない場合には媒介契約となる場合が多く、貸したい家が遠い場合や忙しくて不動産会社とこまめに連絡を取るのが難しい場合などは代理契約が多い傾向があります。どちらにしても、重要なのは不動産会社に明確に自分の希望を伝えることで、希望にそわない入居希望者を仲介されることが無いようにして、失敗を防ぐ事です。

 

契約に際しては、事前に不動産会社がどのような募集活動をして、その進み具合などをどのように報告してくれるのかを確認しておくことも大切です。それは、大家としては広く入居者の募集をしてもらうのが理想的ですが、不動産会社の立場としては仲介手数料が得られなければ利益にならないため、間に他の不動産会社が入らないように、募集活動を限定してしまう可能性が考えられるためです。

 

契約については、不動産会社によっては口約束で契約が成立するところもあるくらいなので、契約に必要な物という決まりはありませんが、必要になるものがあるとすれば、物件の間取り図や案内図、マンションの場合は管理規約や使用細則、設備の一覧や説明書などの書類、入居者を内見で案内する際に使用する鍵、そして本人確認書類や印鑑などです。

 

居住環境を整える準備

不動産会社との契約の次は、入居者に物件を貸すための準備として住居環境を整える事です。自分にとっては気にならない事や我慢できる程度の不便さでも、他人である入居者にとっては我慢できず、クレームになってしまい、賃貸経営の失敗に繋がる可能性があります。そのため、貸す前には住居環境を整える事が必要です。

 

そして、即入居が可能であれば、それをメリットとして物件をアピールするのも効果的です。

 

住居環境の整備としては、具体的には電気・ガス・水道をいつでも使用できるようにしておくこと、家の中には荷物を置いておかないこと、隅々まで清掃をしておくこと、必要であれば修繕やリフォームをしておくこと、火災保険に加入しておくことなどが挙げられます。

 

電気・ガス・水道については、内見の際や設備の動作確認をする際に必要となる事があります。その際、ガスが常に使用可能な状況で放置しておくというのは防犯面においても危険なため、ガスの場合は使用可能な状況であることを求められるとは限りません。そのため、ガスは閉栓しておいて、入居の際にガス会社に連絡をしてもらい、入居者が立ち合って開栓してもらうという流れが一般的となっています。

 

家の中に物を置かないようにしておくことや、清掃をしておくこと、必要に応じて修繕やリフォームをしておくことは入居に際してはもちろんですが、賃料にも影響するため賃料査定までに整えておくのが理想的です。

 

入居者を迎える準備として、鍵の交換も必要となります。賃貸経営においては、入居者が変わることに鍵を交換するのが一般的です。鍵の交換のタイミングとしては、入居時に行うか退去後に行うかの2通りで、契約にもよりますが鍵の交換費用は入居者の負担となる事が多く、入居の際になるべく出費を抑えたいという入居者の心理をふまえると、退去時の交換が良いでしょう。

 

貸出条件を決める

入居者を募集する際、家賃をはじめ様々な条件を設定して募集をするのが一般的です。条件は貸主である物件の所有者が自由に決められますが、条件が多くなるとその分入居希望者を制限することになるため注意が必要です。

 

まずは契約形態です。

 

賃貸の契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類があり、普通借家契約は契約期間に関係なく大家から更新を拒むことはできないため入居者が希望すれば契約は更新となり、定期借家契約は契約期間満了によって契約は終了となり、原則契約の更新はないため再契約しない限りは退去してもらう事となります。

 

家を貸す期間が決まった期間だけという場合には定期借家契約となりますが、入居者としては住み続けたくても契約更新できない可能性が高いため、普通借家契約に比べて賃料は安くなってしまう傾向があります。契約期間も条件の一つで、定期借家契約の場合は自由に決めることになり、普通借家契約の場合は1年以上の契約期間となり、実状としては2年契約が多い傾向があります。

 

保証に関しても重要なポイントで、家賃の未納や滞納があった場合は保証人や保証会社が借主に代わって請求先となるため、どちらも利用しないというのは契約上は問題ありませんが、滞納リスクが大きくなります。保証会社を利用する際には保証料がかかる分入居者の負担は大きくなるため、保証人をたてられない場合に保証会社を利用するというのも一つの選択肢です。

 

他にも貸出条件として、敷金・礼金や原状回復、ペットの飼育や喫煙の可否、入居者を女性限定にするなど様々な条件が考えられますが、女性限定やペット飼育に関する条件は、アピールにもなる反面、入居希望者が制限されることに注意しなければなりません。

 

入居者の募集

入居条件が決まると、提出してる間取り図や案内図、外観や物件内部の写真などを利用して広告を作成し、不動産会社が入居者の募集を開始します。作成した広告は店頭広告をはじめ、インターネット広告や情報誌などに掲載されます。自社サイトの他にも、賃貸物件を取り扱うポータルサイトや、レインズと言う指定流通機構に登録することなど、不動産会社によってその営業範囲は異なります。そのため、契約の前にどのような営業活動をしてもらえるのかを確認しておくことが大切になるのです。

 

また、不動産会社は営業地域の不動産情報に通じているため、入居者の絞り込みや、賃料の設定など、賃貸経営が初めての素人には判断が難しい専門的な部分においてもアドバイスしてもらう事が可能です。そのため、そういったアドバイスを参考にして、その地域の需要にあった物件であることをアピールし、広告していくことも大切なポイントとなります。

 

そして入居希望者から不動産会社に問い合わせが入ると、実際に家や土地を確認してもらう内見が行われます。内見は基本的に不動産会社が対応するため事前に不動産会社に鍵を渡しておく必要はありますが、立ち合いは不要というケースがほとんどです。

 

賃貸経営において、媒介契約の場合は入居者の審査も大家の仕事であり、入居者の年齢や勤務先などを参考に、保証人を確認の上で、その入居希望者に物件を貸すかどうかを検討することになります。

 

ただし、あらかじめ不動産会社に入居者に対しての希望を伝えておくことで、その希望に合う入居希望者だけが紹介されるはずであり、希望にそわない入居者は除外されるはずなので、そういった場合は契約となる事がほとんどであると考えられます。

 

貸主としての契約

入居の条件を満たす入居希望者が現れて初めて貸主と借主として賃貸契約を結ぶことになりますが、契約の前に行う必要があるのが物件についての説明である重要事項説明です。入居してから、事前に説明を受けていなかった不具合が発見されるというようなことがあっては契約行為の信義上にも問題があると言えますし、当然借主が責任を負う事ではないと言えます。

 

不動産会社が仲介に入っている場合は、重要事項の説明は不動産会社が行ってくれることになりますが、そもそも物件の所有者である貸主が不動産会社に伝えていない事があると当然借主にも伝わるはずがないという事を頭に置いておかなければなりません。

 

重要事項説明の次はいよいよ賃貸契約という事になります。賃貸契約書の作成は基本的に不動産会社が行ってくれるため、契約書面に関して貸主がしなければならないのは署名捺印くらいです。契約は不動産会社で対面して交わされる場合もあれば、入居者とは顔を合わせずに書面のみで交わされることもあります。

 

多少異なる部分はあるかもしれませんが、一般的に書面のみで交わされる場合は、まず2部の契約書に借主が署名捺印を行い、それを預かった不動産会社から貸主に2部の契約書が渡り、貸主が2部の契約書に署名捺印を行い、そのうちの1部を不動産会社に提出し、不動産会社はその写しを保管し、原本を入居者に渡して、手続きは完了となります。

 

入居者、不動産会社、貸主がそれぞれ書面を直接手渡しできない場合は、郵送という手段をとることも珍しくありません。これらの手順で契約書面を取り交わすと、貸主と借主が契約書の原本をそれぞれ1部ずつと、不動産会社が写しを1部持つことになり、契約書の紛失といったアクシデントや、偽造といったトラブルにも対応することが可能となります。