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耕作放棄地の問題の原因と再生利用に向けた対策

 2018/06/19 農地と山林の土地活用術  

耕作放棄地の問題の原因と再生利用に向けた対策

 

土地活用において農地の活用には様々な問題がありますが、農家以外の人にとっては他人事のように思われるかもしれませんが、農家以外の人にとってもお米や野菜等の価格といった恩恵を受けていることになりますし、農地には防災においての役割もあります。

 

しかし、そんな農地の面積は減少傾向にあり、農地の中で耕作放棄地となってしまっている土地の割合も増加しています。農地の減少とともに大きな問題となっている耕作放棄地について、具体的にどのような問題があり、それに対してどのように対策しているのかをまとめました。

 

耕作放棄地とは?

耕作放棄地というのは、田や畑、果樹園などにおいて、本来であれば米や野菜、果物の栽培に使用されるはずである農地が放置されていて何も作付けされてない状態である土地を意味します。放棄という言葉が使用されるとおり、耕作放棄地の定義としては「過去1年以上にわたって農作物の作付けが行われていない状態であり、所有者が数年のうちに作付けする予定はないと回答した田、畑、果樹園」とされています。

 

一口に耕作放棄地と言っても、耕作放棄地となってから間もない土地は復元することも比較的容易な場合が多く、放棄されている期間が長い土地は放棄されている期間が長ければ長いほど復元は難しくなります。こうした観点から、耕作放棄地は3つに分類することができます。

 

  • 雑草を排除して耕す事で耕作が可能な農地、
  • すぐに耕作することは難しいものの整備を進めていけば耕作が可能となる農地、
  • 放置期間が長期にわたっており耕作可能な状態に復元するのは困難な農地

 

です。放置している期間が長くなっている耕作放棄地の中には、農業委員会への用途変更の申請が行われることなく地目が農地のまま原野化したり森林化をしている土地も少なくありません。

 

ちなみに、直ぐにでも耕作が可能な農地で、所有している農家に耕作の意思があるものの何かしらの理由で耕作されていない農地の場合は、耕作を放棄しているわけではないため休耕地に分類されます。その判断は微妙なところですが、放棄しているのかどうかは現状だけを見て判断するのではなく農家の意思も影響するため、耕作放棄地の定義は曖昧だというのが現状です。

 

耕作放棄地と似たような言葉で「遊休農地」という言葉があります。

 

遊休農地は、耕作放棄地の定義に加えて、作付けがされていてもその利用の度合いが周辺の農地よりも著しく劣っている農地も含まれます。分かりやすく例えて言うと、広い農地で営利目的ではなく自分で食べる分だけといったように僅かな作物だけを栽培しており、農地の大半は放置され、耕作が放棄されているといった状態でも、土地単位で考えれば作付けしているという状態であることには違いないため、耕作放棄地ではなくて遊休農地という扱いになるのです。

 

世界的な視点で見る場合は、耕作が放棄されてしまう要因としては水不足などの自然災害や、戦乱といったものが挙げられます。しかし、現在の日本においては、昔のように農家の子供がみんな農家を継ぐとは限らず、上京したり他の仕事に就いたりするのは珍しいことではなくなり、耕作放棄地が増加している主な要因は農業後継者が不足していることとなっています。

 

耕作放棄地と遊休農地には、耕作放棄地が統計上の用語であることと遊休農地が法律上の用語という違いがあり、この二つは区別して使われるべき用語ではありますが、日常的にはそれほど厳密に考える必要はありません。ここでは所有者の意思によって耕作を放棄している農地を耕作放棄地として話を進めていきます。

 

耕作放棄地に起こる問題

耕作放棄地には様々な問題があります。農地といっても土地という個人所有の不動産ですから、所有者の意向によって放棄することも自由だと言えるでしょう。しかし、農地が放棄されるとその土地よりも周辺の土地に悪影響が及ぶことがあり、単純な問題ではありません

 

雑草や害虫が増加する事です。
農地の管理というのは、農業経験のない人が考えるよりもずっと大変であり、広ければ広いほど雑草や害虫を駆除するためには農薬が欠かせなくなります。

しかし、農薬の散布はあくまでも良質な作物を効率良く作るためであり、一般的に放置している農地にまで農薬を使う事は考えられません。そのため、放棄地では雑草や害虫などが増えてしまい、周辺の土地にも影響をもたらすことになります。

鳥獣による被害です。
山間部と平野部の間の地域を中山間部と言いますが、特に被害を受けやすいのは生息する鳥獣が多い山間部に近い中山間部の農地となり、分類される土地は日本の国土の73%にも及びます。

中山間部においては、鳥類をはじめシカやイノシシ、クマなどの野生動物によってもたらされる作物被害は避けられませんが、その存在のおかげで集落まで被害が及ばなかったとも考えられます。基本的に野生動物は人の活動範囲には近づきにくいため、山地と集落の間に農地があるという構造は人間と野生動物の縄張りにおける緩衝地帯という役割があるという事です。

その農地が放棄地となってしまうと、その分野生動物の活動範囲が広がることになり、緩衝地帯を失った集落には餌を求めて野生動物が現れるようになり、そうした野生動物に襲われるという被害が増える可能性もあります。

食料自給率です。
平成26年度の日本の食料自給率は39%となっており、昭和40年度の73%に比べるとかなり大きく下がってしまっている事が分かります。今後も世界情勢が安定することが確実であれば輸入に頼るのも一つの選択肢ですが、輸入には輸入元が抱える事情も影響する可能性があるため、これから先も同じ状況が続くという確証はありません。

食料自給率の低下に関しては、生産調整や輸入規制の緩和といった政治的要因もありますが、収益性が低い農業が敬遠されたことも影響していると考えられる一方、そうした農業離れが結果的に日本の経済成長を支えたというのも事実です。それでも食料自給率が低下しすぎると、輸入ができない情勢に陥った場合には深刻な食糧危機となる可能性があるため、輸入に依存しすぎるのは問題です。

ゴミの不法投棄です。
不法投棄の被害は中山間部のに多く、特に原野化した耕作放棄地など一見すると使われていない人目につかない場所が被害を受けやすい傾向があります。

農地の集積化が遅れる事です。
農地の集積化というのは政府による効率化と生産力向上を目指した政策で、複数の中小規模農地を集めて一つの優良農地を形成し、効率良く大規模な農業経営者に耕作させる取り組みで、集積した農地の中に耕作放棄地があれば耕作可能な状態に復元するため費用と労力が必要となります。

多面的機能が失われる事です。
農地がもつ洪水防止機能などの多面的機能が失われてしまいます。

 

耕作放棄地の面積

日本の農林業の生産構造や就業構造、そして農山村地域の土地資源など、農林業や農山村の基本構造の実情や変化を明確にし、農林業施策の企画や立案、推進を行うための資料となる統計を作成したり提供することを目的に、5年に一度のスパンで農林水産省が行っている調査を農林業センサスと言います

 

その農林業センサスの結果として、平成22年においては耕作放棄地が39万6千haという結果が出ており、農地全体が減少しているにも関わらず、耕作放棄地の面積は平成に入ってから増加し続けていることが分かります。

具体的な数値

  • 昭和60年の耕作放棄地面積が13万5千haで、耕作放棄率が2.9%
  • 平成2年の耕作放棄地面積が21万7千haで、耕作放棄率が4.7%
  • 平成7年の耕作放棄地面積が24万4千haで、耕作放棄率が5.6%
  • 平成12年の耕作放棄地面積が34万3千haで、耕作放棄率が8.1%
  • 平成17年の耕作放棄地面積が38万6千haで、耕作放棄率が9.7%
  • 平成22年の耕作放棄地面積が39万6千haで、耕作放棄率が10.6%

 

という結果となっており、面積で見れば昭和60年に比べて約3倍も増えていることになり、耕作放棄率で見ても2.9%から10.6%と、こちらは3倍以上となっています。平成22年から現在までにも増加していると考えられるため、実際は面積も耕作放棄率ももっと増えたり上がったりしていると予想されます。

地域別に見た場合、全国395,981haの耕作放棄地面積の内訳

  • 北海道は耕作放棄地面積が17,632haで、全国分布率が4.5%
  • 東北は耕作放棄地面積が76,112haで、全国分布率が19.2%
  • 新潟を含む北陸は耕作放棄地面積が19,483haで、全国分布率が4.9%
  • 関東と甲信は耕作放棄地面積が100,719haで、全国分布率が25.4%
  • 東海は耕作放棄地面積が33,585haで、全国分布率が8.5%
  • 近畿は耕作放棄地面積が20,159haで、全国分布率が5.1%
  • 中国は耕作放棄地面積が40,815haで、全国分布率が10.3%
  • 四国は耕作放棄地面積が23,956haで、全国分布率が6.0%
  • 九州は耕作放棄地面積が60,570haで、全国分布率が15.3%
  • 沖縄は耕作放棄地面積が2,994haで、全国分布率が0.8%

 

と、耕地面積が圧倒的に広い北海道では耕作放棄地が少なく、東北や関東甲信、九州での分布が高いという結果となっています。中でも東北や北関東、九州においては耕作放棄地面積が広く、それをいかに解消させるかが課題となっています。

 

北海道の耕作放棄地面積が小さいことは、農地の集積化によるところが大きく、広大な大規模農地で農業用機械を使って効率よく営農するスタイルがとれるためと考えられます。もちろん、それだけが理由というわけではありませんが、他の地域に比べて農地の集積化が進んでいるというのは事実です。

 

耕作放棄地が生まれる原因

問題を多く抱える耕作放棄地ですが、必ずしもすべての放棄地が農地所有者によって意図的に放置されているとは限りません。耕作したくても耕作できないというケースもあり、こうした点はなんとしても改善したい部分ですが、人口が減少傾向にあり、特に毎年若い世代の人が都市部に流出し続けている現在の状態では簡単な事ではありません。最近では昔に比べて見直されたり改善されたりしている部分もありますが、それでもまだ農業においては若者離れが止まることはなく、農家の高齢化も深刻です。

 

農業離れの原因として考えられる要因は多く、高齢化による離農をはじめ、若年層の好みの問題や、労力の割に生産性が低いこと、露地栽培など天候に左右されることがあり収入が安定しないこと、農業参入のハードルが高いこと、農業参入のための費用不足、効率化が困難な土地が多いことなどがあげられます。

 

バブル以降長く続く景気後退によっても農家が増えることは無く、収入が低く不安定でも農業を仕事として選ぶ人は多くはありません。

 

さらに、農業参入を希望する人がいても農地法による制限があり、農地の所有権の取得には農業委員会の許可が必要であり、農業委員会は農家もしくは農業従事者にしか許可を出しません。新規参入の場合は、申請の時点ではまだ農家ではなく、農業委員会が農地の取得を認めないため、結果的に農業を始めるのに必要な農地を取得することができないという現実があります。そのため、農業を始めたい場合には農家から農地を借りるなどして農業経験を積まなければなりません。

 

他にも、住居の確保や農業機械、そして一番初めの収穫までの生活費など、自営業の中でも多額の自己資金が必要な初期投資が多い部類と言えます。このように、先行投資型事業である農業は簡単に参入できる仕組みではなく、特に蓄えの乏しい若年層の新規参入は難しいのが現状です。

 

中山間部の農業効率化を図るのが難しいのも要因の一つです。平地であれば農業機械の導入によって効率化を図ることができますが、起伏の大きい中山間部では難しく、特に樹木に実る果実の場合は手入れも収穫も高所で困難な上に、雑に扱うとすぐに傷んでしまうため手作業で行わなければならない部分が多く、機械化による効率化は難しい場合があります。

 

さらに、台風などの暴風雨や局地的な豪雨、水不足、日照り続きなどの天候によって収穫前の作物や果実に被害が出るリスクもあります。耕地面積全体の約4割は中山間部がしめているため、こうした問題をいかに解消するかが課題となります。

 

また、土地持ち農家と呼ばれる存在があるのも要因の一つと言えます。農地を持てるのは基本的には農家や農業従事者ですが、相続によって農地を手にする場合は例外的に無条件で農地を所有することが可能となりますが、そこで相続した人が農家ではない場合は耕作用途以外認められない農地は放置され、耕作放棄地となりす。

 

転用によって農業以外の用途にも使用できるようになると不動産活用としての幅は広がりますが、転用には農地保護のため制限もあり、食料自給という問題に関しての解決にはなりません。

 

耕作放棄地への対策

耕作放棄地に対する対策というのは、不動産所有者が行うべきであり、太陽光発電や市民農園といった活用方法も近年注目されていますが、行政の力による協力がないと難しいという場合も考えられます。国や自治体が取り組んでいる耕作放棄地対策やこれから検討されている対策について確認していきましょう。

 

まず一つ目は農地集積バンクです。

各都道府県に農地中間管理機構が設けられ、小規模農家の農地や再生が可能な耕作放棄地を借り受ける事で集めて、大きな区画に整備する事で大規模な経営を考えている農業経営者や法人に対して貸し出しや売買を行うという仕組みです。

 

公的機関である農地中間管理機構を借り受け先として転貸する形であるため農地の所有者としては賃料収入や、取引によるトラブル等の不安も解消できるとされています。しかし農地としての再生が難しいほど荒れた耕作放棄地は借り受け対象とならないという原則があり、すべてが対象とはなりません。

 

この農地集積バンクはアベノミクスによる成長戦略の一つで、今後集積バンクには数千億円という税金が投入される予定ですが、成果が上がっていないと批判されている対策でもあり、平成26年度においては実際は目標に対して2割しか達成されていません。

 

その背景には耕作放棄地や遊休農地の所有者が中間管理機構に貸すよりも、宅地に転用し売却するという不動産活用を考えている事もあり、農地集積バンクよりも農地の利用制限を緩和するべきとする声も少なくありません。

 

二つ目の対策は固定資産税の課税強化です。

耕作放棄地の解消や農地集積バンクの利用促進のために政府は平成29年度以降、耕作放棄地の固定資産材率を1.8倍に増税する事を決定しています。対象となる土地は、農業委員会が再生可能と判断した耕作放棄地で、農地集積バンクへ貸し出す協議の勧告によって増税となります。

 

この対策は、農地の利用制限を緩和すると農地が減少してしまうため、増税の逃げ道として農地集積バンクへの貸し出しへ誘導することを目的としています。考えようによっては増税を盾にしてでも耕作放棄地を解消したいと考えるほど農地集積バンクの利用率が低いとも言えます。

 

三つ目の対策は耕作放棄地再生利用緊急対策交付金です。

放置されている農地を耕作可能な状態に復元するには労力と多額の費用を伴う事が多いため、平成30年まで、耕作放棄地を再生するために必要な草刈りやゴミの除去、深耕、整地、土壌改良などの作業を支援するために交付金を交付するという緊急対策が行われています。

 

再生作業以外にも用排水整備や農道整備、区画整理、鳥獣被害防止施設、農作物の加工施設や直売所など、農業の再開に必要と考えられる準備のほとんどが助成の対象という適用範囲が広い交付金です。しかし、耕作放棄地増加の原因の根本的な解決ではなく、耕作を放棄する事になった原因の解消とはなりません。

 

四つ目の対策は自治体による補助金です。

自治体によってその内容や金額は違いますが、交付金の適用条件がそのまま流用される事も珍しくありません。自分で作付けができなくても助成や補助を利用して作付け可能な状態にしておくことで売却や貸借といった選択肢が生まれる事もあります。

 

農地の一括査定

耕作放棄地となっている農地の問題を取り上げてきましたが、こうした問題の要因の一つは農地が食料自給率の低下を防ぐ目的から農業以外の用途で使用したり、売却や貸地にすることが許されないためです。しかし、現代では農家の子供が農業を継がないケースも少なくなく、相続によって田畑を手にしても持て余してしまい、耕作放棄地となっている農地が年々増えているのです。

 

農地は農業にしか使用できませんが、立地が鉄道の駅から比較的近い場合などであれば地目と宅地などに転用することが可能な場合があり、売買や貸借などの不動産取引も視野に入れることができます。売買を考える際には、宅地の売買と同じで相場があり、都市近郊型や山間部、中山間部など同じ規模の農地でも売買価格が異なるのは当然と考えられます。

 

実際にどれくらいの価格で取引されているのか、全国農業会議所から公表されている田畑売買価格の調査結果を参考に確認してみると、売買価格は年々下落傾向にあることが分かります。農業における長期的な展望に対する不安が需要減少の理由となっていると考えられます。

 

地域の分類は2種類あり、簡単に説明すると準農業地域は農村部、すなわち非線引き区域の農用地区域のことであり、都市的農業地域とは都市部周辺、すなわち市街化調整区域の農用地区域となっています。その具体的な価格としては、標準的な営農水準と仮定した場合の約一反(10a)当たりの価格で、準農業地域の田で127.0万円、畑は92.4万円、都市的農業地域の田で358.9万円、畑は346.7万円となっています。

 

このように、農地は宅地に比べて価格が安く、仲介手数料によって利益を得る不動産会社にとっては、売買価格に比例して仲介手数料も安くなる農地はあまり積極的には取り扱わないという傾向があります。

 

そのため、農地の売買においては、農地として売買する場合は農業関連機関を間に介して不動産取引を行うか、個人間で不動産取引を行う事が多い傾向があります。しかし、転用を前提とする場合は事情が変わってきます。農地は宅地に比べて広い場合が多く、マンションの建設や公共施設の建設といった需要がある場合があります。

 

しかし、農地を売買する場合、農地として売買する場合も転用を前提として売買する場合も農業委員会への許可申請が必要となり、許可されるまでに1か月程度、届出の場合は10日程度と、時間が長くかかります。許可なく行われた売買については無効となります。

 

また、必ずしも申請した売買や転用が許可されるとも限らないため、不許可となった場合には締結された不動産契約は失効し、違約金や解約金などの発生もない、いわゆる白紙解除となります。

 

売買や貸借といった不動産契約の前に、転用が可能かどうかを確認したい場合、農業委員会に農地区分を確認するのも一つの方法です。農地を扱っている不動産会社は宅地に比べて少ないものの、ないわけではありません。農地に対応した一括査定サービスのサイトもあるため、不動産取引を考えている場合にはそういったサービスを利用して価格の相場を知っておくのも良いでしょう。

 

市民農園として活用するなら

 

農地が宅地など他の地目へ変更することが可能な場合は、そうした不動産取引も一つの選択肢となりますが、地目変更の許可が下りない農地に関しては、その活用の幅は極端に狭いのが現実です。宅地に比べれば固定資産税も安いからと割り切って所有している人も少なくないと考えられますが、周辺の土地への悪影響などを考えて、耕作放棄地の管理をしながらどうすればいいかその活用方法について悩む人もたくさんいるはずです。

 

農地として貸す場合にも相手が限られますし、借り手を探す事も簡単ではなく、貸したくてもなかなか借り手が見つからないという事も珍しくありません。また、他人を相手に取引をすることを不安に感じたり、賃料があまりに安いため収益性が乏しいため貸すことをためらうという事もあるかもしれません。

 

農地を借りたり購入したりして新しく農業を始めたいと希望する人は少なく、需要は乏しいと言えます。しかし、その一方で、趣味で家庭菜園を楽しんだり、週末農業といった農業体験などのニーズは増加傾向にあります。

 

例えば、栽培にあたってのサポートのサービスもある6㎡ほどの市民農園を希望者に提供するといった「シェア畑」というサービスなども人気があります。こういったサービスは、運営を担うアグリメディアが農地の所有者から農地を預かり、市民農園としての運営の一切を一括して任せるといった形態で、運営者から一定の賃料が安定して得られるため、農地活用の可能性を広げることができるものとして注目されています。

 

市民農園は個人で運営することも可能で、その開設方法には3つの方法があります。

  1. 一つ目は特定農地貸付法による方法で、市民に農地を貸す形の市民農園で、利用者から賃料を受け取ることができます。簡単に言えば農地を小さく区画して利用者に貸すというもので、開設には広さが10a以下であることや、営利目的の栽培ではないこと、貸し付け期間が5年以内であることなどの条件があり、農業委員会による承認が必要となります。
  2.  

  3. 二つ目は農園利用方式による方法で、市民に農業体験をしてもらうという形で、利用者から入園料を受け取ることができます。農地を貸すわけではないので、利用者に対して使用収益権の設定をする必要もなく、農地法の規制を受けることもありませんが、相当数が定型的な条件で行われることや、営利目的の栽培ではないこと、農作業が継続して行われることなどの条件があります。
  4.  

  5. 三つ目は市民農園整備促進法による方法で、休憩所やトイレ、駐車場や農機具用の倉庫などの付帯施設がある市民農園となります。市民に農地を貸すこともできますし、農業体験をしてもらうことも可能です。利用者が多くなると付帯施設が必要となるため、規模が大きい市民農園の場合は市民農園整備促進法による市民農園となる事が多いと言えます。付帯施設の整備や管理に手間や費用が掛かりますが、その分利用環境が良いため賃料や入園料は高く設定することが可能です。

 

こうしたサービスは現在ではまだ地方ではあまり普及していませんが、都市部を中心に対象地域を拡大しているため、今後は全国規模で拡がることが期待されています。

 

まとめ

耕作放棄地における問題は、国土が広くはない日本の土地を有効活用するという点においても、生産労働人口の減少を考慮して効率的な農業を目標とする点においても重要な問題となります。しかし、結果的にそうして農地を保護するために厳しい制限を設けたために耕作放棄地が生み出されているというのも事実です。

 

政府は今後10年間ですべての農地の8割が集積化した農地として利用されるようになることを目標としています。集積化によって大規模な農業経営が増えると農業全体としては効率化も図られ生産性が上がると予想できますが、小規模な農家にとってはそうした大規模農家との競争が死活問題となる事も予想されます。耕作放棄地をそのまま放置していることには問題がありますし、農地として利用できれば様々な恩恵を受けることにも繋がります。

 

農地には洪水防止機能があるとされています。田や畑で作物を栽培するためには水が不可欠で、その取水源は圧倒的に河川からとなっているからです。栽培のための取水によって水位を下げる効果を持っていますが、雨量が多い場合には洪水防止の機能も期待できます。田には畔があり、ブロック状の浅い池のような形状が続き、物理的に一定量の雨を蓄えますし、耕された畑には高い保水能力があり、雨水が地下に流れるため河川への流出を防ぐことができます

 

もちろん集中豪雨まで耐えられるほどではありませんが、河川への流出までに時間が稼げるため、時間を遅らせたりすることは期待できます。洪水防止機能の他にも、雨水が地面に吸収され地下水に変わる事で水質を浄化し還元する機能や、雨水を緩やかに浸透させる事で地滑りや土砂崩れを防ぐ機能、景観保全や保養的機能もあります。耕作放棄地となってただ放棄されるだけでは、こうした農地の様々な機能が失われることになり、地域にとっても大きな損失となります。

 

農地には特殊な部分がたくさんあり、作物を栽培するだけの個人所有の土地ではなく、歴史的にも集落をはじめ集団で管理されてきたことからも分かるように、個人の土地でありながら制限も厳しく、完全に自由にできる私有地とも言えない他の地目にはない特殊な性質を持っています。そして耕作を放棄し続けると、その結果荒廃してしまった放棄地が周辺に与える影響はすでに説明したとおりですが、土地としての価値も実質的に大きく下がってしまうということを頭においておかなければなりません。

 

原野化してしまった耕作放棄地を耕作可能な農地に復元するのが困難なのは当然で、土地の価値を考える際には、その土地を使用可能な状態にするために必要な費用は控除されるのが一般的であるため、そのままでは作物の栽培が困難な耕作放棄地を購入して栽培が可能な状態へ多額の費用をかけて復元しなければならないとなると、取引は当然消極的になります。

 

増税の動きがある事や放置する事で周りの土地にも悪影響がある事も踏まえると、放棄地を所有しつづけるメリットはほとんどないと考えられます。それならいっそ、助成や補助制度まで用意されているのですから、農地集積バンクを利用するなど、有益に活用することを考えるのが現実的と言えるでしょう。

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