住宅ローンが残ってる家を売る時の注意点

住宅ローンが残ってる家を売る時の注意点

 

せっかく購入した一戸建てやマンションでも、事情によっては手放さなければならないこともあります。この時、多くの売却希望者にとって問題となるのが住宅ローンが完済できていない場合です。住宅ローンは何千万円にもなる大きな融資であり、一生かけて返済していくケースが多いです。

 

もともとは建物や土地の価格に応じた金額を借り入れていますが、家を売却する場合は単純に資産の価格とは言えなくなります。住宅ローンは最初のうちは利息の比率が大きく、元本がなかなか減りません。これに対して物件の価値は10年もすれば大幅に下がってしまい、家の価値と残ったローンの価値がかけ離れ、オーバーローンと呼ばれる状態に陥ってしまうのです。家を売却するなら、こういった注意点を事前に理解しておくことが大切です。

 

ローン中の家を売るための大前提に

一戸建てにしろマンションにしろ、マイホームというのは非常に大きな買い物になります。中古であれば築年数が経っていれば数百万円で購入できる物件もありますが、新築では最低でも1,000万円以上するケースがほとんどです。このような大金をキャッシュで一括支払いできるような人は稀なので、多くの購入者が何十年にもわたる住宅ローンを組むことになります。

 

住宅ローンが何年になるかは購入者の経済状況や頭金などにもよりますが、少なくとも20年以上は毎月返済し続けていくという人が多いです。住宅ローンを組む際には、このような長期間にわたって安定した収入を得て返済し続けていくつもりでいるのですが、家族の転勤についていったり、勤務先が倒産したり、はたまた離婚したりしてマイホームを手離すことになる人も珍しくありません。

 

このような事情になった場合はマイホームを売却することになるのですが、まだ住宅ローンが残っている家の場合は簡単に売却できないという注意点もあります。

 

住宅ローンを返済している最中の家を売るなら、大前提として残ったローンの完済が可能であるという点が挙げられます。これは実際に売却手続きに入る前までに完済するという事ではなく、契約手続きを済ませて新たな買い主に物件を引き渡すまでに完済できれば良いことになっています。つまり、決済時点で完済できていれば良いため、家を売って得た代金で残ったローンを全て返済してしまっても構わないのです。

 

しかし、立地が悪かったり築年数がかなり経過しているような家の場合、なかなか希望価格で売却できないこともあります。売却代金でローンを返済しても完済には足りないということも珍しくなく、その場合は別途自分で不足した金額を準備したり、新たに借り入れを行わなければならないという注意点もあります。

 

このため、家の売却を希望する場合は事前にいくらで売却できそうか、売却代金から差し引かれることになる費用や必要経費はどれくらいになるかを確実に見積もっておき、完済が可能な見通しが立ってから売却手続きを始める必要があります。

 

こういった注意点を無視してとにかく早く売りに出した場合、後々金銭面でかなり苦労する可能性もあるので覚えておきましょう。

 

なぜ売却までに住宅ローンを完済しておかなければならないのかというと、やはり家を購入してくれた新たな買い主への配慮が一番の理由です。売却した後も引き続きローンを返済していけば良いじゃないかと考えがちですが、新たな買い主としてはせっかく購入した家にローンが残っていると決して良い気はしません

 

なぜならローンを組んだ家や土地には抵当権という権利が設定されており、万が一返済が滞れば金融機関が家や土地を取り上げて自由に処分できることになっています。土地や家の名義が自分になっていても、実質的にはローンを提供している金融機関がそれらを支配していることになるのです。

 

抵当権はローンの完済で外すことができるため、まっさらな状態で新たな買い主に引き渡すことができます。もし抵当権が残ったまま、以前の所有者がローンの返済を滞らせた場合、新たな買い主が利用している家や土地が差し押さえられてしまうことになります。そんなリスクのある物件を買いたがる人はいないため、売却するならローンを完済しておくことが条件となっているのです。

 

最初に行うのは売買相場の把握

物件を売却して残ったローンを完済できるか否かを検討するためには、売却代金だけでなく費用や必要経費なども含めて計算しておく必要があります。家を売った場合、単純に売却代金がそのまま利益になるわけではありません。

 

リフォームやクリーニングなどをするならその料金や、売買が成立した場合に国に納めなければならない税金を売却代金から差し引く必要があります。純粋な売却代金だけを見込んでローンが完済できると勘違いしないよう、この注意点をしっかり理解しておきましょう。

 

売却する際にはまず不動産会社などに物件の価値を査定してもらいますが、査定価格そのものが売却代金になるわけではありません。実際にいくらで売れるかは売買契約を交わすまで確定せず、諸費用についても売却価格によって左右されるものが多いのです。売却相場を把握することがローン完済の可否を検討する重要なポイントとなるので、計算方法などについて知っておくようにしましょう。

 

不動産会社に査定を依頼する際には、1社のみに依頼するのでは不十分です。少なくとも3社以上の不動産会社に査定を依頼し、その結果を照らし合わせることである程度の価格帯や相場が分かってきます。最近は複数の不動産会社へ一括して査定依頼を出すことができるサイトがいくつもインターネット上に開設されているので、不動産会社選びに困っている場合は活用してみると良いでしょう。参照:家を売るために|売却時に失敗しないためのポイント【まとめ】

 

さらに、査定結果がわかったら諸費用を計算する必要もあります。家を売却する場合は様々な費用が発生し、その内容によって売却代金から得られる利益が少なくなってしまいます。

 

具体的な費用としては、売買契約書に貼り付ける収入印紙にかかる印紙税や住宅ローンの完済時に抵当権を外すための抵当権抹消登記費用、様々な手続きを司法書士などに依頼する場合の報酬、住宅ローンを繰り上げ返済する場合に金融機関に対して支払う繰り上げ返済手数料などが挙げられます。

 

さらに、諸費用の中でも大きな割合を占めるのが、売買契約が成立したさいに仲介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料です。実際の金額は売却価格に応じて決められ、いくらにするかは不動産会社によっても異なります。また、家を売却した場合に利益が発生した場合は、国に対して譲渡所得税も納め無ければなりません。

 

注意点として、単純にその家を購入した際にかかった費用から売却代金を差し引いた際に利益がでた場合ではなく、売却代金からその家の現在の価値相当額までをも差し引いて利益になった場合にのみ課税されることを理解しておきましょう。一般的に、家は年数が経過すればするほど劣化し、価値が減少していきます。これを減価償却というのですが、減少した価値分を考慮しても利益が残った場合にのみ、税金を納める必要があるのです。

 

もしもオーバーローン状態にもかかわらず完済できるほどの価格で売却できた場合、手元に全くお金が入らないのに売却益が出ているため課税対象となる可能性もあります。譲渡所得税は税率20%や39%と非常に高いため、売却益が大きくなると負担しなければならない金額も大きくなるので注意点と言えます。

 

ただ、マイホームとして住んでいた家を売るなら3,000万円までは売却益から控除することもできます。この場合は実際に譲渡所得税が課せられるケースは少なく、発生しても確定申告の時期まで支払わなくて良いのでそこまで心配する必要はありません。

 

ローンが完済出来ない場合

土地はそこまで時間の経過とともに価値が下がるということはありませんが、その上に建つ家は話が別です。家は新築時に最も価値が高く、完成したその瞬間から劣化が始まるためどんどん価値が減少していきます。このため、売却した時点でローンを完済できるだけの価格で売れるという保障はありません。

 

売却できたとしてもローンを完済できないことも珍しくなく、この場合は何らかの方法を考えて不足している資金を準備しなければなりません。十分に預貯金がある場合はそれを充てれば良いのですが、そうでなければ金融機関などから新たに借り入れを行う必要があります。ローン完済を目指して新たに借り入れる場合、買い替えローンもしくは無担保ローンのどちらかを選ぶことになるでしょう。

 

買い替えローンとは、現在の家に残っているローンを、次に住む新しい家のローンへ振り替えることのできる商品のことで、様々な金融機関がサービスを提供しています。住み替えローンと呼ばれることもあり、これを利用すれば現在の家を売却した際にローンを完済できなかったとしても、不足している金額を補填しつつ新しい家を購入することもできるのです。非常に便利な商品のように見えますが、もちろん家を新たに買い替えることを前提としているため、単純に家の売却代金が不足しているからという理由では利用することができません。

 

次に住む新しい家の購入資金と併せてローンを組むことになるため、次は賃貸物件に住もうと考えている場合は注意点となります。買い替えローンを利用するメリットとしては、前述したとおり本来であればローンが残って売却できない家でも売ることが可能という点で、とにかく早く家を売ってしまいたいという事情がある人などには最適です。

 

完済までに不足している資金を自分で準備しなくて良いので、実際に手元に資金が無いという人だけでなく、万一の際の蓄えや子供の結婚、進学などまとまった資金を残しておきたい人なども活用できます。

 

一方でデメリットとしては、それまでの住宅の売却と同時期に新しい家の購入手続きも進めなければならないため、タイミングが非常に難しくなります。売却と購入を同時にする必要があるため、金融機関や不動産会社などとも連携しなければなりませんし、売却と購入が確実に決まっていなければ利用することができません。

 

さらに、ローン完済に必要な金額は、その住宅の本来の価値以上の金額となります。不足している金額によっては、次の新しい家がオーバーローン状態でスタートしてしまう可能性もあります。もし次の家でもローンの返済が難しくなった場合、家を売っても完済までには全く足りないという事態もあり得るので注意しておきましょう。また、毎月返済するローンの総額は従来よりも高くなってしまいますし、利用するにあたっては収入や社会的信用など更に厳しく審査されることになります。

 

無担保ローンは、土地や家を担保にする一般的な住宅ローンとは異なり、担保不要で組めるローンのことを言います。その名の通り担保が無いため、信用貸しという性格が非常に強いです。年齢や職業、収入などの属性によっては数百万円程度であればカードローンなどの無担保ローンが利用できるので、一時的な借入に利用することもできます。金利はかなり高くつきますが、他の借り入れが使えない場合は頼らざるを得ません。

 

任意売却と通常の売却

家を売却する場合、ごく一般的な売却方法とは別に保証会社や金融機関などと交渉して売却を進める、任意売却という方法もあります。任意という言葉があるように、ローンの債権者である金融機関や保証会社などが売却に応じるかは任意となっており、もし承諾してもらえなければ任意売却を行うことはできません。

 

一般的にローンが残った住宅を売却する場合、売却代金や新たな借入などで残ったローンを完済するなら金融機関などとの交渉は必要ありません。ただ、売却代金を全て充ててもローンを完済できない場合、任意売却を成功させられれば完済できないにも関わらず抵当権を外してもらうことができるのです。一見すると金融機関には何のメリットも無いように見えますが、状況によってはこれが認められるケースがあるのです。

 

ローンの返済が何ヶ月も滞っている場合、物件購入時に保証委託契約を交わしていれば保証会社が金融機関にローンの残りを代位弁済することになります。これによって債権者は金融機関から保証会社へと移り、保証会社は残債を回収するために動くことになります。通常はこの段階で抵当権を発動し、その住宅を競売などで処分することになるのですが、競売は相場などと比較しても非常に安価でしか売れない傾向があります。

 

そんな時、競売よりも高く売れれば利益も多くなるので、まずは抵当権を外して欲しいと交渉するのが任意売却なのです。保証会社としても少しでも多く回収したいため、状況によっては応じてくれる可能性があります。

 

任意売却は、そもそも競売にかけた場合より高く売れなければ意味がありません。このため、期待できるメリットとしては高く売れればそれだけローンの残債を減らすことができ、任意売却をした後の生活が僅かでも楽になります。ローンを滞納し続けている状況では競売か任意売却しか方法がないため、任意売却を選んだとしても競売以上のデメリットはありません。ただ、マンションに限って言えば任意売却でいつまでも売れない状況が続くと、その期間修繕積立金や管理費などが発生し続けてしまうというデメリットはあるでしょう。

 

任意売却したとしても、ローンの完済には届かないことがほとんどです。不足している金額は保証会社や金融機関への借金として返済していかなければならないので、売却が終われば債務も終わるのではないと理解しておきましょう。任意売却をすると信用情報機関にブラックとして記録されるのではないかと心配する人も多いですが、実際には任意売却を行う以前にローンを滞納している段階で既にブラックになっていることがほとんどです。

 

こうなるとクレジットカードが利用できなかったり、新しいローンの申し込みを断られるなど様々な弊害が生じる可能性があるため、将来的に何かローンやキャッシングを利用したいと考えている場合は注意しておきましょう。

 

任意売却はあくまでも特殊な方法であり、一般的な不動産会社が直接依頼を受けて行うことはありません。任意売却は単純な土地や家の売却とは違い、金融機関などとの交渉も行う必要があります。不動産会社が司法書士や弁護士などと提携して取り扱っているなど様々なスタイルがあるため、任意売却を希望する場合はそれに対応した事務所や専門家を探すことから始めましょう。

まとめ

せっかく購入した土地や住宅は、ローンを完済するまで自分で住み続けたいと考える人がほとんどです。最初からいずれ売却するつもりで購入する人は少なく、売却する際には思いもよらない事態に見舞われることもあるので注意点を把握しておくことが重要です。

 

住んでいた住宅を何らかの事情で売却する場合は、まずローンを完済できる見込みがあるかを検討する必要があります。ローンが残ったままだと土地や住宅に抵当権が残るため、その状態のままでは新しい購入希望者はまず現れません。ローンの完済は家の売却代金を充てても良いですし、それでも不足するなら手持ちの預貯金を充てたり、金融機関などから新たな借入を行って対応することになります。

 

新しい買い主へ物件を引き渡すまでに完済しておけば良いので、間違いなく完済できるよう入念にシミュレーションしておきましょう。完済できるかどうかを知るためには、まず売却相場を確認して必要経費なども含めて計算し、完済までに必要な金額を賄えるか調べる必要があります。

 

相場はあくまでも相場であり、不動産会社に査定してもらった金額で確実に売れるというわけではありません。複数の不動産会社に査定を行ってもらい、実際にいくらで売れそうかも判断してもらうようにしましょう。その結果、売却してもローンの残りを完済できないとなったなら、金融機関が提供している買い替えローンやカードローンなどの無担保ローンを利用するという方法もあります。

 

買い替えローンは次に住む新しい家を購入する場合でなければ利用できませんが、無担保ローンであれば収入や社会的信用が良好なら数百万円ほど無担保で借りることもできます。他のローンに比べて金利は高くなりますが、取り急ぎ不足しているお金を準備したい場合には利用してみると良いでしょう。

 

さらに、どうしてもローンの返済ができず滞納を続けてしまっているようなケースでは、任意売却という方法も挙げられます。競売にかけるよりも高く売れる見込みのある場合に、金融機関や保証会社が承諾すれば行うことができます。ハードルは高いですが、任意売却に精通した不動産会社や専門家に依頼して進めるようにしましょう。

 

住宅ローンが残っている場合、抵当権の存在がどうしても注意点となるためまず売れることはありません。

 

少しでも早く売りたい場合は、新しい借金をしてでもローンを完済してしまう必要があるのですが、早く売りたいと望めば望むほど売却価格を引き下げなければなりません。こうなるとますますローンの完済までに必要な金額が大きくなってしまい、借金がかさんでしまうことになります。

 

そうなれば売却後の生活も厳しくなってしまうため、絶対に売るという事情がある場合以外は、ローンの完済ができないなら売却しなくて済む方法も検討することが大切です。もちろん売却代金で完済できるなら何も問題はないので、まずは土地や家がどの程度の価格で売れそうか、手元にはいくら入ってきそうか計算してみましょう。

 

また、安易に任意売却を目指す人もいますが、ローンの返済を滞納させてしまうと信用情報でブラックリスト入りすることになり、社会的信用の面からも決して最適とは言えません。任意売却か競売か、新たな借金かという究極の状態に陥らない限りはむやみに手を出さないようにしましょう。