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山林活用を資材・自然・土地の3つで考える

 2018/06/19 農地と山林の土地活用術  

山林活用を資材・自然・土地の3つで考えてみる

地方の田舎の不動産として、たくさんの山林があります。そういった不動産の所有において、親が亡くなって初めて相続の対象となる山林の土地があることを知るというケースも少なくありません。

 

前もって相続する山林の存在を知っていても、相続の際に山林だけ相続放棄するという事は出来ないため、やむを得ず相続するという人も多いでしょう。

 

それでもせっかく相続する不動産ですから有効に活用したいものですが、山林の活用方法にはどういったものがあるのでしょうか。山林の土地活用について資材・自然・土地の3つの観点から考えてみましょう。

 

立木を資源とする

まずは山林の立木を資源としてみる場合です。木材には資材として様々な用途があるため、伐採が許可されている場合は立木を伐採して利益を得られる可能性があります

 

しかし、現在の日本において林業を専門にしている林家でさえも、木材などの資材の販売で生計を立てているのは平成22年時点でわずか5%と非常に少なくなっています。林業のプロでも難しいことなので、山林を相続した素人が立木で利益を得るというのは非常に難しく、絶望的とも言えます。

 

相続した山林の立木を伐採し、また植樹をして育ったら伐採という繰り返しと簡単に考える方も多いかもしれませんが、そもそも販売できる資材の育成には考えている以上にたくさんの手間がかかるものです。手入れをせずに放置している自然の山林では、枝や葉が必要以上に生い茂り、日が当たらなくなってしまいます。そのため、枝打ち・除伐・間伐という作業が必要になります。

 

枝打ちとは木の下層の枝を切り落とすことで、除伐とは不要な木を排除すること、間伐とは木々を間引くことを言い、間伐した木も販売対象になります。これらに加えて、樹齢10年くらいになるまでは木よりも周辺地面の草が早く伸びてしまうため、下草を刈り、木の成長の妨げにならないようにしなければなりません。

 

適切な手入れをしている山林は適度に間隔があり、木や枝はまっすぐに伸びており、光が差し込むため明るいものです。一方手入れされていない山林は木や枝葉が生い茂り、薄暗くなります。

 

手入れされていない山林では本数こそたくさん確保できますが、枝が節となり曲がってしまったり、細すぎたりと質が落ちてしまい、さらには山林全体の状態が悪くなってしまい、資材としての販売収入は減少してしまいます。手入れには時間も人手も必要になりますが、手入れをしなければ販売できる質の木は育ちません。資材を販売するのであれば、手入れは必要不可欠です。

 

しかし、平成25年度の森林・林業白書によるとスギ人工林においての販売収入は大きな赤字となっています。それは初年度から苗木代や植栽作業にコストが発生し、それから10年は下草刈りが必要で経費の7割を占めるほどとなっているにも関わらず、そこから40年もたってやっと収入になっても一部しか回収できないというのが理由の一つとなっています。

 

山林の管理を森林組合に委託するという選択肢もありますが、当然委託するには委託費用がかかるため、収入目的で山林を手入れするために委託費用を払うというのは現実的ではありません

 

では木材以外で資源として活用するにはどういったものが考えられるでしょうか。

 

それは燃料としての役割です。昔に比べて薪ストーブを使用したり、お風呂を薪で沸かすという家庭は少なくなってはいますが、アウトドアの際に炭を買う人は多いですし、窯業では何日も火を絶やさないようにするために大量の薪を使用するため、一定の需要があります。薪や炭にする場合には枝や細くて材木にはできないような木、間伐材等も使用できるため、無駄がありません。

 

しかし、木材として資材を使用するための育成費用に比べてコストが安くすむとは言え、薪や炭に加工するための加工費がかかります。そのため、利益を得ようとするのであれば大規模な販売を行わなければなりません。

 

それでも、近年薪ストーブに魅力を感じている人も増えており、インターネットで薪を販売することも可能で、販売コストも昔に比べて格段に下がっています。相続した山林にすでにある立木を使用することもできるので、育成コストが不要で木材にもできない場合の立木の資材としての用途に薪や炭を選ぶのは有効と言えるでしょう。

 

生産物を商品化する

資材以外にも山林から得られるものはたくさんあります。そういったものを特用林産物と言い、中でもその8割という大きな割合を占めるのがきのこ類です。海外から輸入されているきのこ類もたくさんありますが、国産のものにこだわる人も多く、需要も高い特用林産物です。きのこ類以外にも、わらびやゼンマイなどの山菜類も人気がありますし、たけのこ掘りなども普段できない体験ができるとして体験ツアーがあるくらい人気があります。

 

他にも、柿や栗などの果物類や木の実類も人気がありますし、植物以外でもカブトムシ・クワガタなどの昆虫類は都市部では野生のものを見たり捕まえたりする機会はなく珍しいため、子供はもちろん大人にとっても魅力的です。しかし、特用林産物を商品として販売する場合や、収穫を体験するツアーなどを企画する場合には、当然そういった特用林産物が自生しているという事が最低条件となります。

 

そもそも都市部にも少ないながら山林がある地域もあるため、わざわざ田舎の山林ツアーに来る人はいないだろうと思われるかもしれませんが、意外と需要があるものなのです。

 

特用林産物などを採取したり収穫することは、知人であっても、採ったものが少量であっても山林の所有者の許可を得ていなければ窃盗に当たります。そのため、山林の所有者を得て心おきなく採取や収穫を楽しみたいと考えている人にとってはこういったツアーは有意義でとても魅力的です。

 

体験ツアーであればガイドが同行することが多いため、マナー違反や山林を荒らされるといった心配がなく、山林の所有者にとっても魅力的な活用方法と言えます。山林に採取したり収穫できるものがある場合にはこういったツアーを検討するのもいいでしょう。

 

 

これといった特用林産物がない場合でも山林を不動産として活用する方法があります。自然と触れ合えるレクリエーション用地として学校や町内会、自治会といった団体や自治体に向けて開放し、遠足や散策、登山等、自然を満喫しながら交流を深め、楽しんでもらうという方法です。しかし、学校などの公益性の高い団体は無償で使用することがほとんどなので、不動産活用としての利益を求めることはできません。

 

収益よりも地域に貢献しているという精神的な満足感が得られる方法なので、利益を求める場合には手を加える必要があります。遊具やアスレチック、キャンプ場、コテージ、バーベキュー設備などを整備すると、入園料として利益を得ることが可能です。川があれば魚を放流するなどして、自然の川を活かした釣り堀などもファミリーを始め大人から子供まで自然を楽しめるレジャーとなります。

 

しかし、そういった遊具や設備は定期的に点検や補修をする必要がありますし、整備にも多額の費用がかかります。個人でそれだけの不動産投資をするのは難しいため、レジャーを展開する企業に土地を貸すという形になると考えられます。

 

他にも、森林ボランティアとも言われるNPO法人や市民団体に使ってもらうという方法もあります。

 

森林ボランティアとは、森林の整備を自主的に行ったり、健康な森林をつくることを目指している団体で、そのほとんどが近隣地域の森林を主な活動拠点としています。

 

ボランティアなのでもちろん利用料などはないため、利益目的での活用ではありません。管理には至らなくても、定期的に人が入ることによって不法投棄や犯罪の抑制につながったり、自然を守り、山林に変化があった場合に気づくことができます。

森林浴など自然との触れ合いを療養に活かすなど様々な取り組みもあり、利益を求めなければ森林や山林の活用方法は意外とたくさんあるものです。

土地として別の活用方法

山林としてではなく、土地として活用するのも一つの選択肢です。

 

 

売却という選択肢以外であれば、山林以外の不動産と同じで太陽光発電用地とする選択肢や賃貸という選択肢があります。

 

太陽光発電は近年山林で行うケースも増えてきている注目の山林の土地活用の一つです。太陽光発電というと、住宅の屋根やマンションの屋上、空き地で行われているというイメージが強いですが、条件が整えば意外と山林でも発電が可能で、自身で太陽光発電を行う場合と、太陽光発電用地として賃貸する場合の2パターンがあります。

 

太陽光発電は文字通り太陽光をエネルギーとするため、樹木によって日光が遮られてしまうとその部分は発電できないため、発電量が低下してしまうというリスクがあります。そのため、効率よく発電するために設置する際には方角が重要となり、必要に応じて周辺の樹木を伐採しなければならない可能性もあります。

 

しかし、伐採する際には場合によって許可や届け出が必要となる場合があるため注意が必要です。地域森林計画の対象となっている森林においては伐採に届出が必要で、保安林に該当する場合は許可が必要となります。造成においても1ヘクタール以上であれば開発許可が必要となります。地域森林計画に該当するかどうかは市町村で確認できるので、事前に確認しておく必要があります。

 

太陽光発電のために伐採し発電用の設備を設置し、太陽光発電を始めたとしても、その後の管理も必要不可欠です。木々は成長していくため、太陽光発電を始めたときは日光があたっていたところでも木々が成長して生い茂り、影ができてしまう事があります。そういった場合には随時伐採するなどの対処をして管理していくことが必要となります。

 

また、落葉樹が周りに多く自生している場合は、枯れ葉が発電パネルに落ちて発電効率が落ちてしまうというリスクもあります。近くに住んでいれば定期的に見回り、枯れ葉を撤去するなどの管理をすることができますが、遠方に住んでいる場合などで定期的に確認することができない場合は管理を第三者に委託する必要があります。

 

また、電線が通っていればよいのですが、もし電線が通っていなければ電柱と電線を敷設しなければならないため、初期コストが高額になってしまう可能性があります。

 

そのため、山林ではどこでも太陽光発電が可能というような事業ではなく、解決しなければならない課題も多く、太陽光発電を始める前に採算が取れるのか十分に検討しなければなりません。そういったリスクは、自分で太陽光発電をするのではなく、太陽光発電用地として業者に貸し出す事で避けることが可能です。

 

太陽光発電が可能なのであれば用地を貸すよりも、自身で太陽光発電を行った方が収益は多く得ることができますが、太陽光発電を始めると雑種地扱いとなり、用途が限られるため安かった固定資産税の金額が上がるという事も頭に置いておかなければなりません。

 

山林を宅地不動産として賃貸するというのも一つの方法です。しかし、山林に家を建てたいという需要はあまり多くはないですし、中には建築が規制される山林もあります。山林が都市計画区域内で、さらに市街化調整区域となっている場合は都市計画法によって建築が制限されますし、建築基準法では都市計画区域と準都市計画区域の場合には集団規定という用途や高さや接する道路などに規制がある場合があります。

 

都市計画区域外となっている山林が多いため、規制や制限があるケースは少ないとしても、いざ山林に家を建てようとしたときに規制や制限によって建てられないといったことがないように、宅地として賃貸を考えるのであれば確認しておくことは必須と言えるでしょう。

 

まとめ

相続したものの、山林の活用方法を見いだせずに困って放置されていたり、都市部に移り住んでいるため所有している山林が遠くて活用できずに放置したままという問題は全国に共通してみられる傾向で、昔と違い田舎や実家にとどまる人が減少している現代ではその問題も深刻化しています。

 

山林の活用はプロである林業の方々でさえ十分な収入を得られていないというのが現状で、収益の上がる活用方法を見つけられずに困っている山林の所有者は大勢いると考えられます。

 

立木を木材や資材として販売する方法としては、山林を立木も含めて借りたい・買いたいという人がいる場合にのみ成立するという程度で、プロである林業の方々でさえ収入が不十分なのですから、立木の売買で安定した利益を得るのは非常に難しいと考えられます

 

山林は何十年、何百年という長い年月をかけて育成するもので、数年放置するだけでも環境が大きく変わってしまうという事もあるという繊細な部分もあり、住宅用地や商業用地のような他の不動産と同じように活用できるものではありません。しかし、利益を求めずに純粋に活用するという点のみにおいて考えれば、地域の団体や自治体、山林をレジャーなど林業以外の用途で使用している業者などもあることから、需要がまったくないというわけではありません。

 

山間部を通して高速道路を建設するといったケースや、ゴルフ場等をはじめとするリゾート開発、電力会社による鉄塔の敷設や、林業を展開する企業が用地を拡大するために不動産の買取の話を持ち掛けてくるといった可能性は少ないとはいえ、可能性が全くないとは言い切れません。意味のない土地、利益をもたらせない土地と考えて放置せずに、将来への期待感をもって、山林をなるべくいい環境で保つことや、利益は求めずに土地の活用という点において考えるというのも良いかもしれません。

 

林業を営む人に賃貸するといった方法も考えられますが、山林の固定資産税は住宅用地や商業用地にくらべて安いという事もあり、賃貸よりも売買になる可能性が高いと言えます。ですが、同じ地域に林業を行っている人がいるのであれば賃貸の可能性がないとは言い切れません。

 

また、自治体によっては緑地や自然を保全する目的でつくられた制度がある場合もあり、一定期間の使用賃貸契約を結んで保全したり、市民の森などとして一般向けに開放するといった施策が存在するところもあります。こういった施策には固定資産税の減免などの措置がある場合もあるので、収入にはなりませんが負担の軽減につながり、無償の使用賃借であっても何もせずに放置しておくよりも大きなメリットがあると言えます。

 

また、都市部に住む人が子供に自然と触れ合う場を設けたい、ツリーハウスやログハウスを建てて別荘のように使用したいという需要も少なからずあり、山林や竹林を区画で分けて個人へ貸し出すという事業も存在し、中には自治体や森林組合が介入して公募を行っているケースも存在します。

 

賃貸料は年間でも数千円から1万円程度とかなり安い金額の場合がほとんどですが、何もせずに放置しているだけよりも、僅かな賃料でも収入となったり誰かの役に立ったりするのであれば、活用する意味は大いにあると考えられます。

 

役所や森林組合に問い合わせてみるとそういった制度があるかもしれません。

 

立木を薪や炭などに加工して販売したり、山林の土地を賃貸したり、太陽光発電によって僅かでも収入を得るか、固定資産税の減免等のメリットがある施策を活用して負担を軽減するか、利益は考えずに地域貢献などを目的に開放するか、様々な選択肢があるので、山林を放置せずに活用することを考えてみましょう。
 

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