アパート・マンション経営で土地活用

アパート・マンション経営で土地活用をする

アパート・マンション経営は土地活用としてメリットの多い有意義な活用方法です。収益をもたらさない、何もせずにただ持っている土地にも税金はかかりますが、アパート・マンション経営による土地活用によって収益を生み出す土地に変える事ができます。建物があれば税金の面でも優遇されたり、相続税も安くなる場合があります。

 

しかし、それもアパート・マンション経営として成り立たなければ借金だけが残ってしまいます。重要なのは収支予測の一環となる利回りです。アパート・マンション経営による土地活用という観点から、所有している土地に賃貸物件の不動産を建設し、アパート・マンション経営をする場合はどうなるのか、利回りについて確認してみましょう。

 

利回りと家賃収入の比較

賃貸物件による土地活用と言っても、戸建ての借家となると得られる収益には限度があり、空室になった場合には収入は無くなってしまいます。かといってマンションのような大きな建物となると建築費が高くつき、経営がうまくいけば室数が多い分得られる利益も大きいのですが、その分空室や災害によるリスクも大きくなってしまうため、個人の土地活用においては、一般的に中間的なアパートやコーポなどが好まれるという傾向があります。

 

そして、実際の建築費用に関しても業者によって幅があります。しかし、安ければいいというものでもなく、外装や内装にお金をかけて、こだわっているオシャレな物件や、デザイナーズ物件などは集客率も良く、家賃が相場より高くても入居者が集まる場合があります。それに安さを追求するあまり、工事が手抜き工事となってしまい強度不足や欠陥住宅になってしまっては元も子もありません。

 

お金をかければいいというものでも、安ければいいというものでもないというところがアパート・マンション経営の難しいところです。

 

地域のニーズに合わせて、学生が多ければシンプルで安いアパート、女性や社会人が多ければ設備や内装や外装などのデザインにこだわった少し高めのアパート等、需要に合わせたアパート・マンション経営が大切です。

 

では、実際にアパート・マンション経営を考える際にどうやって利回りを計算すればよいのでしょうか。利回りの計算方法を見てみましょう。まず、試しに表面利回りという満室時の家賃収入と建築費で計算するものとして利回りを計算してみましょう。

 

条件は、所有している土地の土地活用という観点であることから、土地を購入するなどの取得に関係する費用はかからないものとし、坪単価は木造の場合で40万円、鉄骨造の場合で50万円、RC造の場合で60万円と仮定します。

 

坪単価は都市圏の場合はさらに1.2倍になるとして、坪単価には付帯工事費も含まれることにします。建築費は部屋の坪数に坪単価をかけて計算し、共用部分の面積は考慮しないことと仮定します。

 

部屋の広さについては、ワンルーム・1K・1DKは平均25平方メートルで約7.6坪、1LDK・2K・2DKは平均40平方メートルで約12坪、2LDK・3K・3DKは平均50平方メートルで約15坪、3LDK・4K・4DKは平均70平方メートルで21.2坪と仮定します。

 

利回りの計算は一見難しそうですが、実はとてもシンプルで、簡単に言えば建築費に対する家賃収入の比率です。家賃収入は満室であることを前提にし、戸数分の家賃で求めることができ、下記の式に当てはめて計算します。

 

表面利回り=(家賃×戸数×12か月)÷建築費×100%

 

では、家賃が一部屋25平方メートルの7.6坪で6万円、ワンルーム6戸の木造アパートを都市圏に建築した場合の利回りがどうなるのか、試しに計算してみましょう。

 

建築費の計算は、建築費=部屋の坪数×坪単価×戸数となるため、建築費はこのようになります。

建築費=25平方メートル×0.3025×40万円×1.2倍×6戸=2,178万円、家賃収入は家賃×戸数×12か月となるので、6万円×6戸×12か月で432万円となります。

 

そして、利回りはこのようになります。

表面利回り=家賃収入÷建築費×100%
=432万円÷2,178万円×100%
=19.83471%

 

このように、利回りを計算するためには想定する建築費と想定する家賃収入が必要となります。

 

家賃相場は都道府県や地域、駅までの距離や周辺環境によって大きく変わってくるため、各地域の家賃相場を調べる必要があります。今回はこの後説明する【利回りが上昇する地域】のところでも東京23区、郊外、名古屋市、大阪市、地方に分けて確認していくことにしましょう。

 

土地活用を検討している土地のある地域の家賃相場を調べる方法としては、不動産仲介業者のホームページなどで同じ地域、同じような周辺環境で間取りや部屋の広さ、設備などが似ている新築アパートを探して確認してみることが可能です。新築物件は他の物件に比べて家賃相場が高くなるため、似ている条件の新築物件がなければ、似ている条件の部屋より少し高い家賃で想定して計算すると良いでしょう。

 

利回りが上昇する地域

土地活用としてアパート・マンション経営を検討する場合は、土地を新たに取得する場合と違い、土地を取得するための費用が不要となるため、地価が高い地域であるほど利回りは上昇するという事になります。

 

地価が高い地域は人口が多いため家賃相場も当然高くなる傾向にありますが、その分他にも賃貸物件が数多く存在するため、競争物件が多いとも言えます。アパート・マンション経営において、活用する土地がどのような地域にあるかというのは大きなポイントとなります。

 

では、地域によって利回りがどう変わってくるのか、地域ごとの間取りと利回りについて確認してみましょう。

 

東京23区の場合利回りはこのようになります。

  • ワンルーム・1K・1DKで家賃相場が7~8万円なら、木造利回りが23~26%、鉄骨造利回りが19~21%、RC造利回りが15~18%。
  • 1LDK・2K・2DKで家賃相場が8~11万円なら、木造利回りが17~23%、鉄骨造利回りが13~18%、RC造利回りが11~15%。
  • 2LDK・3K・3DKで家賃相場が11~14万円なら、木造利回りが18~23%、鉄骨造利回りが15~19%、RC造利回りが12~15%。
  • 名古屋市のアパートの場合は、ワンルーム・1K・1DKで家賃相場が5~6万円なら、木造利回りが17~20%、鉄骨造利回りが13~16%、RC造利回りが11~13%。
  • 1LDK・2K・2LDKで家賃相場が6~8万円なら、木造利回りが12~17%、鉄骨造利回りが13~16%、RC造利回りが11~13%。
  • 2LDK・3K・3DKで家賃相場が8~9万円なら、木造利回りが13~15%、鉄骨造利回りが11~12%、RC造利回りが9~10%。
  • 大阪市のアパートの場合は、ワンルーム・1K・1Kで家賃相場が6~7万円なら、木造利回りが20~23%、鉄骨造利回りが16~19%、RC造利回りが13~15%。
  • 1LDK・2K・2DKで相場が7~8.5万円なら、木造利回りが14~18%、鉄骨造利回りが12~14%、RC造利回りが10~12%。
  • 2LDK・3K・3DKで家賃相場が8.5~9.5万円なら、木造利回りが14~16%、鉄骨造利回りが11~13%、RC造利回りが9~10%。
  • 郊外や地方のアパートの場合は、ワンルーム・1K・1DKで家賃相場が3~4.5万円なら、木造利回りが12~18%、鉄骨造利回りが10~14%、RC造利回りが8~12%。
  • 1LDK・2K・2DKで家賃相場が4.5~6万円なら、木造利回りが11~15%、鉄骨造利回りが9~12%、RC利回りが7~10%。
  • 2LDK・3K・3DKで家賃相場が6~7万円なら、木造利回りが12~14%、鉄骨造利回りが10~11%、RC造利回りが8~9%となります。

 

こうして確認してみると分かるように、一般的には間取りが狭く、小さい部屋を多くして戸数を増やした方が利回りが上がる傾向にあります。それは、家賃相場は部屋の広さに比例するわけではなく、面積が2倍になっても家賃も同じように2倍にはできないためです。

 

建築費においても、建築コストがかかるRC造で家賃が低い場合が最も利回りが低く、建築コストを抑えられる木造住宅で高い家賃の場合が最も利回りが高くなります。家賃相場は地域によって変動がありますが、建築費用に関しては地域による格差が比較的小さいため、建築コストを早く回収するなら木造アパートの方が有利という事になります。

 

ただし、同じ広さの部屋で比べた場合、一般的に木造よりもRC造の方が家賃が高くなる傾向にありますし、木造住宅の方が上下の階や左右の隣室の物音や話し声などが響きやすいというデメリットもあります。それに、木造とRC造では建築物としての耐久性にも差があり、木造の方が家賃の下落が早くなるため、長期的な目で総合的な利回りを考えると、その幅は大きなものではありません。

 

利回りだけを比較すると、どうしても利回りの高い方を選択したくなるものですが、そもそも借りる人がいなければ家賃収入を得ることはできません。入居率が上がるように地域の需要に合わせた物件でなければ、借りる人が少なくなり、家賃を下げても入居率が上がりにくく、利回りも結果的に大きく下がってしまいます。アパート・マンション経営において入居率はとても重要です。

 

表面利回りと実質利回り

利回りには

  1. 表面利回り
  2. 実質利回り

の2種類があり、これまで見てきた利回りは建築費と満室時の家賃収入から求めた単純な表面利回りです。それに対して、アパート・マンション経営に関する諸費用を考慮した利回りを実質利回りと言います。

 

表面利回り=満室時家賃収入÷建築費用×100%
実質利回り=((家賃収入×入居率-諸経費)÷(建築費用+建築諸費用))×100%

 

という計算式で計算することが可能です。

 

土地活用においてアパート・マンション経営を考える際には、表面利回りの目安として都市圏であれば少なくとも15%~20%、地方であっても10%~15%程度はなければ、投資としての魅力はあまりないと言われています。なぜなら表面利回りは満室を前提としているため、それが最高値となるため、それを上回ることは決してありませんが、下回ることは珍しくないからです。

 

利回りが高いからと賃貸物件を建設しアパート・マンション経営を始めたとしても、実質利回りが伴わずに赤字経営となってしまった場合、経営を持ち直すのは簡単ではありません。仮に実質利回りが5%まで下がった場合、回収にかかる期間は20年という長い期間になってしまいます。まして1%や2%まで下がってしまうと回収の見込みが無いのも同然です。

 

平均50%の入居率なら、実質利回りは10%以下まで下がってしまいますし、それに加えて諸経費の支払いや、建築物の修繕費が将来必要になってくることや、築年数が経つごとに家賃を下げなければ入居率を上げることもできない点を考慮すると、表面利回りは机上の空論になりやすいと言えるため、注意する必要があります。アパート・マンション経営において注意しなければならない諸経費とその目安について確認しておきましょう。

 

初年度には特に諸経費が多く発生します。

 

初年度の諸経費は物件によっても異なりますが、まずは建築費用が挙げられます。そして建築費以外で主な出費となるのは不動産取得税です。不動産取得税は建物の評価額の3%とされていて、建物の評価額は建築費のおよそ5割から7割程度となります。つまり、建築費の2%ほどという計算になります。ただし、不動産取得税は大きく軽減される場合があり、40平方メートルから240平方メートルまでの部屋には1戸1,200万円の軽減があります。

 

アパートの評価額が1戸1,200万円という事はまず考えられないため、実質40平方メートルから240平方メートルの部屋は不動産取得税がかからないと考えて問題はありません。

 

そのため、ワンルーム・1K・1DKは40平方メートル未満のため課税対象となるものが多く、1LDK・2K・2DKはその広さによりますが、1LDK・2K・2DK・2LDK・3K・3DK・3LDKは40平方メートルを超える物件が多いため非課税となります。そのため、ワンルームなどの小さな部屋は表面利回りは高いのですが、不動産取得税がかかる分実質利回りは低くなります。

 

不動産取得税以外にも、登録免許税や司法書士報酬が必要になります。登記手続きによって課税され、建物の評価額の4%、建築費のおよそ0.24%程度の金額になります。どのアパート・マンションでも課税されるため、どのような賃貸物件の不動産でも実質利回りは下がることになります。

 

また、一般的に登記手続きは司法書士に依頼することが多いため、司法書士報酬も必要となります。司法書士の報酬は、およそ10万円から20万円程度と想定することができます。登録免許税と併せておおよそで計算しても、建築費の1%程度と考えておけばよいでしょう。

 

もう一つ重要な諸経費はローン関係の諸費用です。建築費用はとても高額になるため、ローンを利用するケースが多いのですが、そのローンの事務手数料や保証料、団体信用生命保険料などを金利に組み込むか現金払いにするかは金融機関によって異なります。事務手数料だけと仮定しても、数万円という金融機関もあれば、借入金額に対して2%ほどの一定率という金融機関もあり、一概にどれくらい、という事ができません。そのため、借入金額や金融機関が決まらなければ正確に計算することはできない費用となります。

 

まとめ

アパート・マンション経営は、土地を所有している場合は特に表面利回りが高くなります。しかし、実質利回りまで考えるにあたって、諸費用はある程度見積もることができますが、どれくらいの入居率を保つことができるかは予測が甘くなりがちという傾向があります。また、初年度の諸費用以外にも、毎年かかる諸費用も大きな負担となり、経営を悪化させる可能性があります。

 

毎年かかる諸費用には家賃収入と比例しない費用が多く、空室が増えるとその分負担が増えるため経営は悪化します。毎年かかる諸費用には固定資産税や都市計画税があります。これらは土地の価値によって税額が変わります。土地は地域格差が大きく、建物の価値は年々下がっていきます。

 

土地の税金はアパートやマンションを建てる事で住宅用地特例が適用されるため、敷地が広大でなければ固定資産税は六分の一、都市計画税は三分の一まで軽減される場合がありますが、負担がないわけではありません。表面利回りが高い都市圏は地価が高いため、土地の税金は実質利回りを大きく下げることになりますが、その分入居率が高くなると予測することができるため、結果的に高い実質利回りを期待することができる傾向にあります。

 

それとは反対に建物の税金については評価額によるため地域格差が小さいという性質から、地方の家賃収入が少ない物件ほど実質利回りに対する影響は大きくなります。事業税や所得税、住民税においては、実質利回りが高いほど税額が高くなります。特に累進課税となる所得税への影響は多いと言えます。

 

管理を自分で行うのであれば管理委託費は不要となりますが、遠隔地などの場合に自分で管理するのが難しいといった理由や、管理の手間を省きたいといった理由で管理会社へ管理を委託することは珍しくありません。その場合には管理委託費が発生し、その費用の相場は一般的に家賃の5%とされています。表面利回りが20%の場合は19%になってしまいます。

 

火災保険料や地震保険料も必要経費の一つです。

 

所有者が建物全体にかける保険で、補償内容によって保険料が変わってくるため、利回りに対しての影響は契約内容を決めなければいくらくらいと言う事はできません。一般的に長期間分を一括で払うと安くなる傾向にありますが、安い金額では無いため、一括での支払いが難しいことも珍しくありません。その場合は年払いも可能なので、毎年かかる費用と認識しても問題ないでしょう。

 

また、共用部分の水光熱費や照明の交換、通信費などの雑費や、特別な広告を依頼している場合は不動産会社に支払う広告料も発生しますし、会計業務を税理士に依頼するケースが多いですが、その税理士への報酬も必要となります。

 

将来的に建物の修繕や建て替えにも多額の費用が掛かります。建て替える際には入居者に退去してもらう必要もあるため、その間家賃収入が途絶えてしまうのも大きな負担となります。築10年もすれば屋根や壁の塗り替えや補修といった一時的な修繕費用が発生しますし、30年もするとRC造以外の場合は建て替えが必要となります。分譲マンションの場合はそういった費用は区分所有者が積み立てますが、賃貸のアパートやマンションの場合は、建物の所有者が修繕費をすべて負担しなければなりません。

 

そのため、マンションの場合の修繕積立金のように家賃の何%かを確保しておかなければなりません。管理費・共益費・修繕積立金などの名目で入居者に負担してもらうというのも一つの方法です。

 

新築時は集客もしやすく、高い入居率を保つことができるので、新築時から築数年の間のアパート・マンション経営には余裕があることが多いと言えます。しかし、築年数が経ちより新しい物件に入居者が流れていくと入居率が下がり、古くなった建物の修繕費も必要となってくるため、アパート・マンション経営は徐々に収入と支出のバランスが崩れてしまうケースが少なくありません。

 

アパート・マンション経営による土地活用においては、新築時の収益がピークであると考えて、築年数が経っても入居率を保てるように、随時修繕やリフォームなどの費用をかけることができるように備えておく必要があります。

 

アパート・マンション経営を考える際には目先の利回りだけでなく、10年後、20年後の利回りまで想定した上で、手を出すべきかどうかを判断しなければなりません。