家や土地の売却時に知っておきたい注意点

家や土地の売却時に知っておきたい注意点はココ

 

家や土地といった不動産は得難い資産として大切にしている人が多く、実際に売却する場合には数百万円から数千万円、またはそれ以上という非常に高い価格で売ることができます。このため資産として手元に置いておきたいという人も多く、売却を検討するのには大きな決断を必要とします。

 

近年の日本はあまり景気の良くない状態が続いているため、せっかく不動産資産を所有していてもなかなかスムーズに売れなくなってしまいました。いざ売却する場合に自分の希望通りの価格で売ることができたなら、それは非常に幸運だったとも言えます。

 

できるだけ希望通りに売却するために、不動産資産を売る際に知っておくと役立つことを挙げてみます。知識のないまま売却に踏み切ると後悔してしまうことも多いので、まずはこの注意点を理解しておきましょう。

 

物件について

自分が所有している不動産資産を売却する場合、土地や建物という商品としてマーケットに出すことになるため、売り主として自分の商品の内容をしっかり理解することが大切です。不動産会社に仲介を依頼しても良いのですが、まずは物件の特徴などを知っておくようにしましょう。

 

物件の注意点としてまず挙げられるのは、その物件の現況と登記されている内容が異なる場合があるということです。これは土地でも建物でも関係なく、その物件の登記内容と実際の現況が違っているケースもあるのです。特に相違が多いのは土地の地積についてで、このポイントが異なると境界も異なってしまうため、その状況を理解しつつ売却を進めるとトラブルに発展してしまう可能性が高いので注意が必要です。

 

また、建物であれば増築した際に登記を忘れていたりすれば、登記内容と現況が異なることになります。このため、もし増築した履歴があれば、間違いなく登記しているかチェックしておいた方が良いでしょう。

 

建物を建築する際に関係する建築基準法は、これまで何度も改正が行われています。ただ、法律の施行以前から既に建てられていた建物にまでは基準が適用されておらず、改正当時に既に建築されていた建物は現行法でも法の範囲内と判断されます。

 

つまり、日本中で基準が異なる建物が数多く存在しているのが現実で、もし一度でも建物を取り壊してしまうと現行法に従わなければ再築できなくなってしまいます。これによって思うように建物を建てられなくなるケースもあるため、売却前にこの点をチェックしておくようにしましょう。

 

さらに、物件が居住していた時のままの状態ではすぐに売れるとも限らないという注意点もあります。築年数が経過している物件の場合、そのままでは買い手が付かないのでリフォームや解体を検討しなければならないこともあります。必須というわけではありませんが、リフォームなどをして物件の状態を綺麗にしておいた方が買い手が見つかりやすいのも事実なので、経済的に余裕があれば実行しておきたいところです。

 

ただ、いかにリフォームを行ったとしても確実に高く売れるようになる保証はありません。中には古い物件を安く購入し、後で自分で好きなようにリフォームしたいと考えている買い主もいるため、事前に手を加えることがマイナスになってしまうこともあります。このため、リスク回避という綿で考えればあえてリフォームはせず、その分値引きをして売り出した方が結果的に早く売れることもあると覚えておきましょう。

 

さらに、不動産を売却する場合にローン残額がある場合、売却額でローンを完済できるように設定することも重要です。物件が売れてもローン残額を返済することが出来なければ、そもそも物件を売却することはできません。ローンが残っている場合は抵当権が設定されるため、金融機関に差し押さえられてしまう可能性が残ります。

 

買い主としてはこのようにリスクの高い物件は敬遠するためなかなか購入を決心してくれませんし、売却できても代金の全額が手元に残らないため、ローンを返済できるだけの将来的な資金計画を立てておくことが大切です。

 

売却価格について

 

所有する不動産を売るとなると、売り主が最も気になるのはやはり売却価格がいくらになるかという点です。ローンがまだ残っている物件であれば、最低でもローンを完済できる程度にはなってほしいと考えるのが普通ですし、できれば完済後も利益を残したいものです。ただ、近年は不動産の価値も下がりつつありますし景気も良くないため、実際に売却で利益を出すのは至難の業です。

 

不動産を売却する場合、まず不動産会社などに見積もりを依頼して売却査定を行います。しかし、不動産会社は仲介を前提として査定をしているため、実際の査定額というよりスムーズに売れる査定額を付ける傾向にあります。良心的な不動産会社であれば実際の価値や周辺相場と鑑みて査定額を出してくれることもありますが、多くの場合は不動産会社が媒介契約へと結びつけるための営業的な査定額となっているケースも多いです。

 

営業的な査定額になると、あえて相場よりも高い金額を付けて売り主を喜ばせ、自分のところと媒介契約を結んでもらうことを目的としているため相場から見ると高すぎる物件となります。相場より高ければ当然購入希望者はなかなか現れませんから、いつまで経っても売れないということにもなり兼ねません。査定額が高かったからと言って、必ずしもその金額で売買契約が成立するというわけではないので注意が必要です。

 

査定額はあくまでも売れるボーダーを知るための目安ではありますが、自分の不動産がどれくらいの価値があるのかといった相場を知るには必要不可欠な作業です。

 

売り主としては、売却を決めたのなら少しでも早く、少しでも高く売りたいと望むものですが、不動産市場では残念ながらこの2つの希望は相反する傾向にあります。やはり安いものの方が購入希望者が現れやすいため早く売れますし、余程人気の地区や利便性の高い地域でなければ高く売ることはできません。

 

高く売ろうとして売却価格を高く設定すれば売れにくくなり、安く設定すれば早く売れるものの利益は非常に少なくなってしまうことを覚えておきましょう。

 

また、不動産を売却するには主に

  1. 仲介
  2. 買取

という2つの方法が存在します。

 

不動産会社に依頼して購入希望者を探してもらうのが仲介ですが、こちらは契約成立すると不動産会社へ成功報酬として仲介手数料を支払うことになります。買取はその名の通り不動産会社に不動産ごと買い取ってもらう方法で、契約成立しても仲介手数料は必要ありません。

 

手数料という費用で考えると買取の方がメリットがありそうですが、買取価格は仲介で売却した場合の売却代金の6割程度にしかならないため、総合的に見ると損をしてしまいます。もちろん仲介は買い主が見つからない限りいつまでも売れないというリスクがあるので、どちらが良いかは売り主が慎重に判断する必要があります。

 

いつでも良いので少しでも高く売りたいという場合には、長期間かかっても問題ない仲介の方が適していますし、事情があって早く売ってしまいたい場合には売却価格が少ないとしても買取を選んだほうが良いでしょう。場合によっては、最初に仲介で売り出してみて、様子を見ながら買取りへと移行するという売却スタイルも選ぶことができます。

 

売却にかかる費用について

買い主が売り主に対して支払う売却代金はそのまま収入になると考えがちですが、実際には売却には費用が発生します。売却代金から費用を引いた額が手元に残るので、収支をしっかり理解しておくよう注意が必要です。

 

費用として最も大きな割合を占めるのが、不動産会社へ支払う仲介手数料です。法律で上限が設定されていますが、基本的には不動産会社が自由に決めた手数料を支払うことになります。もちろん、不動産の売買契約が成立しない限りは支払う義務はありません。

 

次に必要となる費用は、各種税金です。

 

不動産を売却した場合、譲渡所得が発生するとかなり高い税率で課税されてしまいます。売却した不動産の所有期間が5年以内か5年以上かによっても税率が異なり、5年以内であれば所得税30%で住民税9%、5年以上であれば所得税15%で住民税5%となっています。この税金は、不動産を売却した次の年の確定申告で実際に収めることになります。

 

他の税金としては、売買契約書に貼付して提出する数万円程度の印紙税約や登録免許税などが挙げられます。登録免許税は登記の際に必要となる税金であり、所有権移転登記の場合は費用を基本的に買い主が負担するのが慣習となっています。ローンが残っていて抵当権が付いているような場合、もしくは登記上の住所と実際の住所が異なる場合などは売り主側が負担することもあります。この登記は手続きが複雑なので司法書士に依頼することも多く、その場合は司法書士への報酬として最低でも1万円ほどかかってしまうので注意しましょう。

 

さらに、物件は現況そのままの状態でスムーズに売れるとは限りません。キズや汚れが目立ったり、築年数が経過しているような場合は買い手が見つかりにくいので、リフォームなどを行って状態を良くすることもあります。建物の場合、リフォーム以外にもハウスクリーニング業者を入れて綺麗に掃除するくらいはやっておいたほうが、内覧に訪れた購入希望者の心証を良くすることができます。

 

これらにかかるコストは全て費用となり、費用が大きくなりすぎるとせっかくの売却益を食いつぶしてしまうこともあります。あまりに古すぎるような物件の場合は、下手に手を加えるよりも解体して更地にした方が売れやすくなるので注意が必要です。

 

土地の場合は、

  1. そのまま売却に出せるタイプ
  2. 測量が必要になるタイプ

の2種類があります。

 

登記上の地積と現況の地積が異なる場合、売買に当たっては正確な地積が分かっていないとトラブルになってしまうため必ず測量をして地積を確実にしておく必要があります。他の土地などとの境界が不明瞭な場合も測量が必須で、近隣との境界トラブルを避けるためにも不動産を売却する時には境界確定を行っておいた方が良いと言えます。

 

境界についての話し合いは、近隣の土地所有者と測量図を参考に進められることが多いため、できるだけ事前に測量を行っておいた方が安心です。こういった作業は基本的には土地家屋調査士などに依頼して実行してもらうことになりますが、その場合は数十万円程度の費用が発生します。古くからある土地の場合は境界があいまいになっていることも多く、測量にも時間がかかりがちです。

 

不動産会社について

所有者が不動産を自分の力だけで売却するのは非常に難しいため、多くの場合不動産会社に仲介を依頼します。

 

このための契約を媒介契約と言い、主に

  1. 専属専任媒介契約
  2. 専任媒介契約
  3. 一般媒介契約

という3種類に分けることができます。

 

最も拘束力が強いのは専属専任媒介契約で、逆に一般媒介契約は最も拘束力が緩い形態となります。

 

不動産を売却する場合はどの媒介契約にすれば良いのか悩みがちですが、基本的には専属専任媒介契約か専任媒介契約を結ぶケースが多いです。

 

一般媒介契約は複数の不動産会社と自由に契約を交わすことができるので、特定の不動産会社が信頼できない場合や競争させたい場合などに意識的に利用されます。専属専任媒介契約は、たった1社にだけ仲介を依頼してしまうため、万が一能力の低い担当者に当たってしまうとスムーズな売却が見込めません。

 

実際にどのような営業活動が行われているのかを売り主が知ることは難しいですが、この契約は1週間に1度、専任媒介契約であれば2週間に1度は売り主へ定期報告するよう義務付けられています。これによって営業活動内容を知ることもできるので、なかなか成果が上がらない場合は注意深く報告をチェックするようにしましょう。

 

大手不動産会社などの中には、よく両手取引を行っていることがあります。両手取引とは売り主と買い主を1つの不動産会社が仲介するスタイルのことで、契約成立時には双方から手数料を得ることができるので非常に利益を上げることができます。もちろんこの方法に違法性はないのですが、両手取引を目指すあまり他社からの購入希望の問い合わせを断ってしまうケースも散見されます。

 

こうなるとその不動産会社が買い主を見つけられないと売却が成立しませんし、なかなか物件が売れなくなってしまいます。知名度や実績、過去のノウハウが豊富にある大手不動産会社ほどこの方法を取るケースが多いとされるので、できるだけ早く物件を売りたい場合は注意が必要です。

 

また、大手に限らず物件への問い合わせに積極的に対応しない不動産会社もあります。該当の物件は商談中です、などと返事をして他社からの問い合わせを遮断してしまうことがあり、これも両手取引を成立させて手数料を得るために嘘をついて対応していることになります。こういったやり方は以前から消費者保護の観点で問題視されているのですが、実際には現場で盛んに行われているのが現状です。

 

また、他社の広告を制限してしまう不動産会社というのも存在します。他社で広告を出されないようにするために、不動産会社は売り主が近所に物件を売りに出したことを知られたくないから、などと建前を付けて制限してしまうのです。こうなるとインターネットなどで一般の購入希望者は情報を見つけることができなくなり、実質不動産会社しかその情報をチェックできなくなってしまいます。

 

当然それだけ物件を売却できる可能性や時期も悪くなってしまうため、売り主にとっては非常に不利になってしまいます。あまり質の良くない不動産会社に売却を依頼してしまうと、このような弊害が生じてしまう可能性もあるので注意しておきましょう。

 

売買契約後の注意点

これまで物件の売却価格や発生する費用、仲介を依頼する不動産会社など様々な注意点を述べてきましたが、不動産資産の売却にはまだまだ注意しなければならないポイントがあります。その最たるものが、無事に売り主と買い主の間で合意して売買契約が成立した後のトラブルです。

 

基本的には契約が成立すれば簡単にひっくり返されることはないのですが、不動産売買は種類や形態など、それぞれの事案ごとに特徴がかなり異なるので一概には言えません。

 

通常であれば起こらないような事態についても、しっかり想定して準備しておくことも大切です。もし契約成立後にどちらかの都合によって契約を破棄しなければならなくなった場合、一定の金銭を支払う必要があります。不動産売買では、一般的には売買契約が成立した時点で買い主から売り主へ、売却価格の10%程度の手付金が支払われることになります。

 

物件が買い主へ実際に引き渡されるまで何ごともなく進めば、買い主が支払った手付金はその売却代金の一部となります。実際に購入代金を支払う決済時には、既に支払った手付金を差し引いた残金を精算すれば良いだけです。ただ、売り主側の都合によって契約破棄を申し出る場合、買い主から既に受け取った手付金を全て返還するだけではなく、どれと同等の金額をプラスして買い主に支払うことになります。

 

逆に買い主側の都合で契約破棄する場合は、買い主が支払っていた手付金をそのまま放棄することになります。どちらにせよ、契約破棄をすると破棄した側が手付金を失ってしまうため、契約破棄は慎重に検討してから実行する必要があります。

 

また、契約後に買い主が住宅ローンの審査に落ちてしまうと、契約自体が白紙になってしまうという注意点もあります。

 

不動産の購入は非常に高額になるため、多くの買い主は住宅ローンを利用します。ローンの審査では売買契約書を参考に進められるため、先に審査を済ませてから契約を交わすということは不可能です。つまり、契約が成立してもその後のローンが不可となった場合、買い主が代金を支払うことが現実的にできないということになります。

 

このような場合に備えて、不動産における売買契約では、ローンが認められなかった場合に契約を白紙に戻すことができる特約が付けられることが多いです。売り主にとっては何の得にもならない特約ですが、買い主にとっては万が一の事態に備えるためにも必須の特約となっています。この特約が付加されていないと、そもそも契約が成立しないことになります。

 

さらに、契約後に瑕疵担保責任に関わることでトラブルになるケースもあるので注意しておきましょう。瑕疵担保責任とは、例え売り主が物件の売却前に知らなかった不具合があったとしても、買い主に引き渡した後にまでその責任を負う義務を言います。法律上、買い主がその不具合について知った後1年間は売り主の責任を問うことができると定められています。

 

どれくらいの期間担保責任を負うかは売買契約の段階で取り決められることが多く、期間については買い主と売り主の間で協議されることになりますが、実際には数ヶ月から長くても1年程度となっています。

 

まとめ

このように、家や土地と言った不動産を売却する場合には様々な注意点やポイントがあるので注意が必要です。

 

まず、商品となる物件についてはリフォームやハウスクリーニングなどを行って状態を綺麗にしておくことはもちろん、登記上の情報と実際の情報に相違が無いかを事前に必ずチェックしておくことが重要です。

 

登記上の情報と現況が異なっていれば売却価格や不動産としての価値に影響を及ぼす可能性もあり、買い主との間で大きなトラブルに発展してしまう危険性もあります。

 

売買契約成立後に余計なトラブルを避けるためにも、売り出す前にしっかり登記を確認しておくようにしましょう。

 

また、不動産が売り出し価格で売れたとしても、その金額が全て売り主のものになるわけではありません。不動産の売却には譲渡所得税や登録免許税など様々な費用が発生するため、純粋な利益は売却代金からこれらの費用を全て差し引いた後に残った金額ということになります。

 

実際にどんな費用がどれくらい発生するかは不動産によっても異なるので一概には言えませんが、費用のことを忘れて売却代金だけを当てにしていると資金計画が予定通りいかなくなってしまうこともあるので注意しておきましょう。

 

さらに、不動産の売却を不動産会社に仲介依頼する場合は営業方法や仲介手数料もよく理解しておく必要があります。契約が成立すれば仲介手数料を支払う必要があり、不動産によっては数十万円から数百万円と非常に高額な手数料が必要になることもあります。

 

売り主と買い主の両方から手数料をもらうために、他の不動産会社からの問い合わせをシャットアウトして営業活動を行っている業者も多く、これをやられると買い主が見つかりにくくなるため売り主にとっては非常に不利になってしまいます。

 

大手の不動産会社でもこの営業活動は盛んに行われているため、仲介依頼する場合には不動産会社選びを慎重に行うことが大切です。知名度だけで選ぶのではなく、過去の実績やトラブルの有無まで入念に調べてから依頼するのが賢明です。めでたく契約が成立しても、売り主と買い主どちらかの都合で契約を破棄する場合は、手付金相当額を相手に支払うというペナルティが発生します。不動産の売買では手付金もかなり高額になるので、安易に契約破棄はしないようにしましょう。

 

家や建物といった不動産は、物によっては何千万何億円にもなる大きな商品です。購入する時はもちろんですが、自分が持っている不動産を売却する場合でも様々な税金や費用が発生してしまいます。実際の物件の価格よりもコストがかかってしまうこともあるので、売買に当たっては決して楽観的に構えてはいけません。油断していると大きな損失やトラブルを招いてしまうこともあるため、専門家やインターネットの情報などを駆使して十分に準備をしておくようにしましょう。

 

上述した費用の問題の他にも、物件の査定や不動産会社の選び方、法律との兼ね合いや契約関係の注意点など、頭に入れておきたい知識は山のようにあります。不動産会社に頼り切りにするのではなく、損やトラブルを避けるためにもある程度の知識を身に着けておきましょう。