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遊休農地を活用する3つの方法

 2018/06/19 農地と山林の土地活用術  

遊休農地を活用する3つの方法

 

少子高齢化が急激に進んでいることで知られる日本ですが、この問題は年金や労働力だけでなく、農地活用の面でも大きな影響を与えています。農地はもともと作物などを育てて食料を収穫する目的で利用されてきたのですが、最近は農業を継ぐ若者も少なく、せっかく相続しても放棄されることが増えてきました。

 

農地は基本的に農業目的でなければ使用できないことになっており、農業以外の相続人が受け継いでも活用できずに困るケースが多いのです。こういった遊休農地や放棄地をどのように活用するかは非常に難しいのが現実ですが、中には特例などを適用して農地以外に活用できるケースもあります。

 

農地を所有している場合は、その土地をどのように活用できるのか事前に知り、将来的な見通しを立てておくことも大切です。

 

農地を持てるのは農家だけ

日本には様々な場所に土地が存在しますが、その中でも農業目的で使用される土地は特別です。言うまでもなく農業用の土地は農作物を収穫するために使用される大切なものであり、日本では食糧自給率を維持するためにも農地を簡単に他の目的で使用できないよう規制されています。農業を行う土地が農地なのではなく、農地は農業に使うということが定められているのです。

 

つまり、農地という位置づけになっている土地を手に入れたいと考えても、他の活用方法は基本的に認められないため農家や農業を始める予定の人しか購入することができないことになります。

 

しかも新たに農地を購入しようとする場合、他の土地や建物のように不動産会社から購入するのではなく、地域の自治体や農業委員会の審査を受けて許可を貰わないと購入できません。既に農地を所有している人から相続で受け継ぐ場合は許可が無くても問題ないのですが、それ以外のケースでは購入前に十分注意しておく必要があります。

 

農地にはこのように規制が存在するのですが、一定の条件を満たせば農地であっても農業以外に活用できる転用という制度もあります。転用してしまえば、その土地は既に農地ではなくなるため、他の誰かが購入したり不動産投資として使用することも可能になります。

 

現在では農地であっても転用を前提とすれば売買が認められているため、遊休農地や放棄地も次の通りに活用方法が見込めます。まずは従来のまま農地として活用する方法、転用してから他の不動産投資対象として活用する方法、そして転用を前提として売却したり賃貸に出したりする方法です。これらの方法はいずれも地域の農業委員会の許可が必要となり、無視して進めれば法律違反となるばかりか売買契約や賃貸借契約なども無効となってしまうので注意しておきましょう。

 

さらに、農地はもともと行政が取り決めた農地区分というものがあり、活用を考える場合にはまずどこの農地区分に含まれているかを確認する必要があります。区分によっては転用後も農地としてしか利用できない土地もあるので、事前の確認が必須です。

 

農地転用許可の基準と農地区分について

ひと口に農地転用と言っても、農業以外ならどんな不動産投資にも使用できるというわけではありません。基本的には農地は農業以外には自由に使用できないことを法律で定められており、転用したい場合にはその土地を管轄する地元の農業委員会から許可を得る必要があります。

 

転用に対する許可は農地区分と深い関係性を持っており、全ての農地が許可を得られるとは限りません。収穫量や土地の性質など、優秀な農地であればあるほどその保護度は高く、転用を希望しても簡単には認められません。

 

具体的に示すと、例えば農用地区域内農地という区分であれば、自治体が定めた農業振興地域整備計画によって農用地区域に指定されており、原則として他の不動産投資への転用は不可となります。

 

甲種農地区分は第1種農地となる条件を満たした土地であり、特に優良な営農条件となっている農地なのでこちらも原則不許可となります。

 

第1種農地区分は10ha以上の比較的広範囲の農地であり、優良な営農条件の土地が該当します。ここも農地として環境が良いため、原則農地としてしか使用できません。第2種農地区分は、その土地から500m以内に鉄道の駅があるなど、将来的にわたって市街化が期待される土地や生産性があまり高くない小規模の農地を指します。

 

周辺の土地で代わりに活用できることができない場合、転用を許可されるケースもあります。第3種農地区分は300m以内に駅があるなどして市街地に属するような場合で、将来的に市街化が進むと見込まれる土地です。ここなら農地として重要性も低く、原則的に転用は許可されることになります。

 

第2種農地区分は条件付き、第3種農地区分は原則許可されるということを覚えておきましょう。これ以外の区分は基本的に転用が認められないため、活用するならあくまでも農地として活用するしかありません。

 

どの区分に該当するか調べる場合は、不動産会社などではなく地域の農業委員会へ確認するのが確実です。また、区分で原則許可となっていても、転用目的の実現性によっては申請を拒否されることもあるので注意が必要です。

 

農地を農地のままで活用する方法

農地区分によって遊休地などを農地でしか活用できない場合、自分が農業を始められないのであれば他の誰かにその土地で農業を行ってもらうしかありません

 

具体的な方法として、周辺の他の農家に遊休地を買取ってもらったり、貸し出したりする方法が挙げられます。近年は農家も高齢化が激しく後継者不足で悩んでいるところも多いためなかなか希望通りに売却できないケースも多いです。購入希望者を見つけた場合でも、実際に売却する前に農業委員会に取引の許可を得る必要があります。

 

不動産会社などに相談して農地を購入したい人を探す手もありますが、どうしても売却できなければ貸し出しを考えてみましょう。他の農家などへ土地を貸与する場合も、売買のケースと同じように農業委員会から許可を得ましょう。賃料の発生有無に関わらず、さらに賃貸借契約を終了させる場合にも委員会からの許可は必要となります。

 

また、農家などへの売却や貸与以外に、市民農園として活用するという方法もあります。市街地に近ければ、農業を趣味として行いたい市民の需要が高いこともあります。市民農園の形態によっては法的な手続きが不要で手軽に始められるケースもあり、自治体が積極的にサポートしてくれることもあるので最後の手段として考えてみる価値はあります。

 

農地の売買や賃貸借については、基本的に農業委員会の許可が必要となります。一方、それ以外にも売買や賃貸借する方法として農用地利用集積計画や農地集積バンクといった制度の活用も挙げられます。

 

どちらも小規模にばらついて存在する土地をまとめ、規模の拡大を目指す農家へ提供するために始められた制度です。

 

都道府県単位で行われているのが農地集積バンクですが、結局は業務を市町村などの自治体に委託しているので農用地利用集積計画を利用する場合と同じく自治体の担当部署が窓口となります。農政担当部署が取り扱っていることが多いので、遊休地があることを相談してみると良いでしょう。賃貸借の場合、農地法に基づいた個人間の契約よりも市町村の仲介が入る点、さらに期間満了すれば農地がスムーズに返還される点でメリットがあります。

 

農地から転用して農地以外で活用する方法

遊休地を農地以外の不動産投資へ転用したい場合、まずは農地区分がどうなっているか農業委員会に確認しましょう。転用が認められる区分であれば、駐車場や資材置き場、太陽光発電用地などの活用目的をある程度絞り込みましょう。どのような使用目的で転用するのかを決めておかなければ、農業委員会へ申請しても転用を認めてもらえない可能性があります。

 

前述した活用目的はあくまでも例であり、これ以外にも様々な活用方法はあります。どんな活用方法でも、遊休農地を転用するには具体的かつ実現可能な目的が必要となります。転用した後にうまく活用できないのであれば、せっかくの農地を無駄にしてしまいます。こういった目的や将来的な見通しを考えず、とりあえず転用だけを申請するということは認められないため、しっかり転用後の活用方法や運用の見通しを立ててから申請する必要があります。

 

遊休農地とは言え、他の不動産投資へ転用する以上は事業という扱いになります。事業は収益を出し、成功させなければ始める意味がありません。そのためにも、不動産投資を始めるための資金調達や事業計画などは実現性があることが前提となり、そうでなければ農業委員会も転用許可を出してくれません。

 

不動産投資以外に自宅を建てるために使用することもできますが、この場合でも建築資金などが準備できること、建築許可を問題なく受けられることが条件とされるなど、遊休農地を転用するには様々な制限があります。ただ、何らかの不動産投資に使用したい場合でも、一度コストの低い駐車場などに転用しておき、その後他の転用方法に自由に変えるということもできます。

 

とりあえず駐車場に転用するつもりでも、まず遊休農地を転用するにあたって農業委員会の審査で駐車場としてのニーズや収益性はあるのか、チェックされることになるので注意しておきましょう。もし自分で活用するつもりがないのであれば、この方法ではなく転用目的で売買したり貸与する方法を実践することになります。

 

農地を転用目的で売買・借貸する

遊休農地を相続などで取得した人が、そのままその土地を活用して農業や不動産投資を行うつもりがないこともあります。サラリーマンとして忙しく働いていたり、遊休農地から遠く離れた場所に住んでいたりすれば、自分で活用できないことが多いでしょう。こういった場合は、自分以外の第三者が転用後にその土地を使用することを前提として、売却や賃貸借を行う方法もあります。

 

例え自分で活用しない場合でも、遊休農地を転用しておくことが必要となりますが、転用後も自分で使用するケースとは違って同時に売買契約もしくは賃貸借契約を行うことになります。転用を前提とした契約締結を行うため、他の使用目的とは違った注意点などもあります。

 

このケースでは、転用した後の遊休農地は土地の購入者や借り主がそれぞれの目的で活用することになります。もともとの所有者としての将来的な運用計画などは必要なく、農業委員会への許可申請は自分と購入者や借り主が一緒に行います。農地がスムーズに売却できれば所有権は購入者に移転し、その後の土地のことは考える必要もありません。ただ、賃貸借するのであれば借り主から賃料が支払われなければ困ってしまうため、借り主がどのように土地を活用するのか、収益がどれくらい上がるのか知っておく必要があります。

 

借り主が行う可能性のある事業としては、賃貸住宅を建築して行う賃貸経営、店舗や工場、倉庫の建設や営業が考えられます。農地は基本的に建物は存在しないため、個人の借り主が行う場合は高額の資金が必要となります。収益性に注意するとともに、土地に建物が建ってしまうと借地権も発生して借り主の権利が強くなってしまうため、自分が土地の返還を希望しても返してもらえない可能性があることを理解しておきましょう。

 

借地権は一般的に30年以上と長期にわたることが多いので、賃貸借目的で転用する場合は契約が継続したまま相続が発生してしまうケースもあります。数十年先の将来的な計画なども、よく考えて決めることが大切です。

 

遊休農地とにかかる固定資産税

土地などの不動産を所有している場合、毎年固定資産税を始めとした税金が発生します。

 

遊休農地であってももちろん例外ではなく税金を支払う義務があるのですが、所有者の中には農地という名目であれば税金が安くなると誤解している人が多くいます。

 

税金を節約するために、他の不動産投資へ活用せずに遊休農地のまま放置しているケースも珍しくないのですが、実際には固定資産税の金額は名目ではなく現況が優先されます。

 

つまり、税務署の調査によって遊休農地が将来にわたって農地と認められる保証はなく、雑種地と判断されてしまえば宅地と同じレベルの課税額となるのです。転用せずに放置していても得なことはあまりないので、遊休農地はできるだけ活用することが大切です。

 

遊休農地の活用方法として整備された農地集積バンクですが、全国的な認知度はまだまだ十分とは言えません。そこで普及を広めるため、平成29年より農地集積バンクを活用して農地を貸し出した場合は固定資産税を軽減し、反対に農地を放置し続けていた場合には固定資産税を増額するという措置が始められています。

 

この制度は、あちこちに点在する農地をまとめて管理し、農業経営者に一括して貸し出して効率的に運用してもらうことを目的としています。

 

小規模な農地が点在していても生産性において非常に効率が悪いため、少しでも土地をまとめて活用するために農地集積バンクの利用を進めることが望ましいのです。国としても、国内の全ての農地の80%を大規模経営を行う農家で運営したいと目標を掲げていますが、実際には50%までしか達成できていません。その大きな理由が遊休農地とされており、この土地をいかに効率よくまとめるかが重要な課題となっているのです。

 

このため税制面で遊休農地の負担を増やすことで所有者の対策を促し、農地集積バンクによる活用を進めているのです。この増税措置は全ての農地が対象ではなく、農地集積バンクへの貸し出しが可能な地域にある遊休農地となっているため、自分の土地がどこに属しているか確認しておきましょう。

 

まとめ

このように、農地を不動産投資の一環として活用する場合には様々な注意点があります。そもそも農地は農地としてしか使用できないことが決められており、農家の親から相続で土地を譲り受けた子が農業を行えなければ、その土地は遊休農地や放棄地になってしまいます。中には農地以外の使用目的に転用できるケースもありますが、農業区分や地域の農業委員会の許可など越えるべきハードルは高いと言えます。

 

また、農地を

  • そのまま農地として活用するのか
  • 農地以外へ転用するのか
  • 転用を前提とした売却や賃貸借を行うのか

など用途によってポイントも様々に異なります。

 

平成29年からは遊休農地に対して増税措置も行われており、そのまま放置していても良いことはありません。農家以外の人が農地を取得したり、後継者不足などで農業を辞めてしまった人は遊休農地を他の不動産投資へと活用したいところです。

 

国としても土地を遊ばせておいても得なことはなく、生産性の向上のために積極的な活用を目指して様々なサポートや優遇措置を行っています。

 

このような状況であれば従来よりも有利な条件で土地を有効活用させられる可能性もあるため、絶好のチャンスだとも言えます。他の用途に転用が認められない農地は資産的な価値や利用価値も低く、農家以外が取得しても処分に困ってしまうケースが多かったのですが、農地集積バンクなど新しい制度を活用することでより有利に活用することも可能です。

 

転用が可能な農地であれば、売却はもちろん賃貸経営や自己利用など様々な活用方法を選択することができ、放置しておくよりずっと有意義に利用することができます。活用するとなればすこしでも利益の大きい用途にしたいと考えがちですが、損得よりもまず自分の所有する遊休農地にどんな選択肢があるのかを知り、実現できそうな方法を選ぶことが大切です。

 

農地を相続したものの、どのように扱えば良いのか分からないという場合は、まず農地を管轄する農業委員会に相談してみましょう。

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